「新後拾遺和歌集」一覧
1554件
| 1 | あまつそら かすみへたてて ひさかたの くもゐはるかに はるやたつらむ | 為定(御子左二条為道男) |
| 2 | たちかへる はるのしるしは かすみしく おとはのやまの ゆきのむらきえ | 俊頼(源経信男) |
| 3 | おとはかは やまにやはるの こえつらむ せきいれておとす ゆきのしたみつ | 順徳院 |
| 4 | はるといへは やかてかすみの なかにおつる いもせのかはも こほりとくらし | 良基(二条道平男) |
| 5 | にほのうみや けふよりはるに あふさかの やまもかすみて うらかせそふく | 定家 |
| 6 | あしひきの やまのかひより かすみきて はるしりなから ふれるしらゆき | 忠岑 |
| 7 | はれやらぬ くもはゆきけの はるかせに かすみあまきる みよしののやま | 雅経 |
| 8 | よしのやま ことしもゆきの ふるさとに まつのはしろき はるのあけほの | 良経(九条兼実男) |
| 9 | たちわたる かすみのうへの やまかせに なほそらさむく ゆきはふりつつ | 為氏 |
| 10 | なほさゆる ゆきけのそらの あさみとり わかてもやかて かすむはるかな | 後光厳院 |
| 11 | やまのはに はれぬゆきけを のこしても はるたちそふは かすみなりけり | 義満 |
| 12 | はしひめの かすみのころも ぬきをうすみ またさむしろの うちのかはかせ | 家隆 |
| 13 | はるかすみ たちてののちに みわたせは かすかのをのは みゆきさむけし | 伊勢 |
| 14 | さらにまた むすほほれたる わかくさの すゑののはらに ゆきはふりつつ | 家良 |
| 15 | うちはふき なけともはねの しろたへに またゆきさむき はるのうくひす | 読人不知 |
| 16 | はなもまた にほはぬほとの あさなあさな なけやうくひす はるとおもはむ | 按察(鷹司院) |
| 17 | うめかかを こつたふえたに さきたてて はなにうつろふ うくひすのこゑ | 亀山院 |
| 18 | はるのくる しるへとならは さきやらぬ はなをもさそへ うくひすのこゑ | 後醍醐院 |
| 19 | くれたけの ねくらかたよる ゆふかせに こゑさへなひく はるのうくひす | 冬平 |
| 20 | はるののに なくやうくひす なつけむと わかいへのそのに うめのはなさく | 赤人 |
| 21 | ふるゆきの したににほへる うめのはな しのひにはるの いろそみえける | 信明 |
| 22 | ふりかかる こすゑのゆきの あさあけに くれなゐうすき うめのはつはな | 良基(二条道平男) |
| 23 | いさけふは ころもてぬれて ふるゆきの あはつのをのに わかなつみてむ | 為家 |
| 24 | かすかのの わかなもいまは もゆらめと ひとにはみせす ゆきそふりつむ | 能宣 |
| 25 | さとひとは いまやのはらに ふるゆきの あともをします わかなつむらむ | 為藤 |
| 26 | きえかての ゆきもともまつ はるののに ひとりそけさは わかなつみける | 道嗣 |
| 27 | けさはまつ のもりをともと さそひてや しらぬゆきまの わかなつままし | 後円融院 |
| 28 | たれかまた ゆきまをわけて かすかのの くさのはつかに わかなつむらむ | 為氏 |
| 29 | かつきゆる をちかたのへの ゆきまより そてみえそめて わかなつむなり | 為定(御子左二条為道男) |
| 30 | しもゆきに うつもれてのみ みしのへの わかなつむまて なりにけるかな | 宗尊親王 |
| 31 | みやこひと けふやのはらに うちむれて しるもしらぬも わかなつむらむ | 実氏 |
| 32 | ゆききゆる かれののしたの あさみとり こそのくさはや ねにかへるらむ | 良経(九条兼実男) |
| 33 | それなから はるはくもゐに たかさこの かすみのうへの まつのひとしほ | 定家 |
| 34 | はるかすみ たなひきわたる まきもくの ひはらのやまの いろのことなる | 深養父 |
| 35 | さほひめの かすみのころも おりかけて ほすそらたかき あまのかくやま | 為重 |
| 36 | あしひきの やまのたえたえ みえつれは はるのかすみの たてるなりけり | 読人不知 |
| 37 | はるきぬと かすみのころも たちしより まとほにかかる そてのうらなみ | 後円融院 |
| 38 | なにはかた あしひのけふり そのままに やかてそかすむ こやのまつはら | 尊氏 |
| 39 | はるのいろは わきてそれとも なかりけり けふりそかすむ しほかまのうら | 知家 |
| 40 | いまさらに かすますとても なにはかた なかむるものを はるのあけほの | 実氏 |
| 41 | こすゑをは よそにへたてて うめのはな かすむかたより にほふはるかせ | 為世(御子左藤原為氏男) |
| 42 | いつくそと うめのにほひを たつぬれは しつかかきねに はるかせそふく | 師教(九条忠教男) |
| 43 | このまより うつるゆふひの かけなから そてにそあまる うめのしたかせ | 伏見院 |
| 44 | こすゑをは さそひもあかす うめかかの うつるそてまて はるかせそふく | 為冬 |
| 45 | さきにほふ のきはのうめの はなさかり さそはぬほとの かせはいとはし | 後光厳院 |
| 46 | うめのはな ひもとくはるの かせにこそ にほふあたりの そてはしみけれ | 康資王母 |
| 47 | をるそてに ふかくもにほへ うめのはな そのうつりかを たれかとかめむ | 大輔(殷富門院) |
| 48 | くれなゐの こそめのうめの はなのえは さくもさかぬも いろにいてつつ | 読人不知 |
| 49 | いろよりも なほたくひなき くれなゐの こそめはうめの にほひなりけり | 為遠 |
| 50 | うめのはな いろかはかりを あるしにて やとはさたかに とふひともなし | 為家 |
| 51 | そてのうへに かきねのうめは おとつれて まくらにきゆる うたたねのゆめ | 式子内親王 |
| 52 | わかやとに うめのはなちる ひさかたの そらよりゆきの ふるとみるまて | 旅人 |
| 53 | たゆるよも あらしとそおもふ はるをへて かせにかたよる あをやきのいと | 好忠 |
| 54 | たちならふ こすゑはあれと あをやきの いとのみなひく はるかせそふく | 道嗣 |
| 55 | ふくかせの こころもしらて ひとかたに なひきなはてそ あをやきのいと | 後光厳院 |
| 56 | あすかかせ ふきにけらしな たをやめの やなきのかつら いまなひくなり | 為定(御子左二条為道男) |
| 57 | けさみれは やなきのまゆの あさみとり みたるるまてに はるかせそふく | 義詮 |
| 58 | あさみとり いろそめかけて はるかせの えたにみたるる あをやきのいと | 為氏 |
| 59 | あめはれて つゆのたまぬく あをやきの はなたのいとに はるかせそふく | 尊氏 |
| 60 | はるさめの ふるひやけふも くれぬらし またおちやまぬ のきのたまみつ | 義満 |
| 61 | はるさめに のさはのみつは まさらねと もえいつるくさそ ふかくなりゆく | 家長(源時長男) |
| 62 | なにはめの すくもたくひも うちしめり あしやのさとに はるさめそふる | 知家 |
| 63 | つまこひを ひとにやつつむ やまもとの かすみかくれに ききすなくなり | 光厳院 |
| 64 | へたてゆく かすみもふかき くもゐちの はるけきほとに かへるかりかね | 為藤 |
| 65 | ことつてむ みちゆきふりも しらくもの よそにのみして かへるかりかね | 定為 |
| 66 | はるをへて かへりなれたる ふるさとに まつへきものと かりやゆくらむ | 為遠 |
| 67 | こしのうみや なれけるうらの なみゆゑに かならすかへる はるのかりかね | 為実(御子左藤原為氏男) |
| 68 | ときわかぬ かはせのなみの はなにさへ わかれてかへる はるのかりかね | 隆祐 |
| 69 | しらなみの あとこそみえね あまのはら かすみのうらに かへるかりかね | 土御門院 |
| 70 | なきかへる かりのはかせに ちるはなを やかてたむけの ぬさかとそみる | 具平親王 |
| 71 | かへるかり みやこのはるに いつなれて ありなははなの うきをしりなむ | 為信 |
| 72 | はなをこそ おもひもすてめ ありあけの つきをもまたて かへるかりかね | 右京大夫 |
| 73 | よこくもの そらにわかれて ゆくかりの なこりもとめぬ はるのあけほの | 俊光 |
| 74 | たれかはと おもひしはるを おのれのみ うらみはててや かへるかりかね | 為子(贈従三位) |
| 75 | たのめこし ひとのたまつさ いまはとて かへすににたる はるのかりかね | 宗尊親王 |
| 76 | さきやらぬ はなまつほとの やまのはに おもかけみせて かかるしらくも | 義詮 |
| 77 | さくらはな さけるやいつこ みよしのの よしののやまは かすみこめつつ | 伏見院 |
| 78 | さくらはな いまやさくらむ みよしのの やまもかすみて はるさめそふる | 後円融院 |
| 79 | みよしのの やまのやまもり こととはむ いまいくかありて はなはさきなむ | 後醍醐院 |
| 80 | さくらはな いまさきぬらし しからきの とやまのまつに くものかかれる | 光俊(葉室光親男) |
| 81 | あくるよの とやまのはなは さきにけり よこくもにほふ そらとみるまて | 公賢 |
| 82 | さくらはな さきぬるときは みよしのの やまのかひより なみそこえける | 俊頼(源経信男) |
| 83 | をはつせの はなのさかりや みなのかは みねよりおつる みつのしらなみ | 清輔 |
| 84 | よしのやま はなのしたふし ひかすへて にほひそふかき そてのはるかせ | 道命 |
| 85 | あしひきの やまさくらとの はるかせに おしあけかたは はなのかそする | 道家 |
| 86 | いたつらに このひとえたは なりぬなり のこりのはなを かせにまかすな | 和泉式部 |
| 87 | ひとえたも をらてかへらは ふるさとに はなみぬものと ひとやおもはむ | 為世(御子左藤原為氏男) |
| 88 | かへさにも いかかたをらむ やまさくら はなにおとらぬ いへつともかな | 寛尊法親王 |
| 89 | やまさくら ちりのまかひの ころよりも いへちわするる はなさかりかな | 国冬 |
| 90 | しらくもに まかへてたにも しをりせし はなのさかりや いへちわすれむ | 通陽門院 |
| 91 | としことに そむるこころの しるしあらは いかなるいろに はなのさかまし | 登蓮 |
| 92 | あかすみる こころをしらは さくらはな なれよいくよの はるもかはらて | 業子(従二位) |
| 93 | はるをへて しかのふるさと いにしへの みやこははなの なにのこりつつ | 為定(御子左二条為道男) |
| 94 | いまもなほ さけはさかりの いろみえて なのみふりゆく しかのはなその | 為遠 |
| 95 | しらくもの たえまにかすむ やまさくら いろこそみえね にほふはるかせ | 白河院 |
| 96 | しらくもの かさなるみねに たつねつる はなはみやこの こすゑなりけり | 寂蓮 |
| 97 | やまたかみ をのへのさくら さきしより くもゐはるかに にほふはるかせ | 定通(土御門通親男) |
| 98 | まつのはの かすめるほとは なけれとも をのへにとほき はなのいろかな | 為重 |
| 99 | へたつるも おなしさくらの いろなれは よそめいとはぬ かつらきのくも | 実重(三条公親男) |
| 100 | ひにそへて くもこそかかれ かつらきや たかまのはなは はやさかりかも | 法守法親王 |
| 101 | かつらきや うつるよそめの いろなから くもまてにほふ やまさくらかな | 義満 |
| 102 | たちかくす たえまもはなの いろなれや くもゐるみねの あけかたのそら | 実兼 |
| 103 | みわたせは いまやさくらの はなさかり くものほかなる やまのはもなし | 為家 |
| 104 | はなのいろに なほをりしらぬ かさしかな みわのひはらの はるのゆふくれ | 順徳院 |
| 105 | これならて なにをこのよに しのはまし はなにかすめる はるのあけほの | 高倉(八条院) |
| 106 | ときのまに うつろひやすき はなのいろは いまをさかりと みるそらもなし | 実俊(西園寺公宗男) |
| 107 | はるかせも こころしてふけ わかやとは はなよりほかの なくさめもなし | 読人不知 |
| 108 | くれはてて いろもわかれぬ こすゑより うつろふつきそ はなになりゆく | 邦長 |
| 109 | よしのやま あらしやはなを わたるらむ こすゑにかをる はるのよのつき | 惟明親王 |
| 110 | はるのよの つきはかりとや なかめまし ちりくるはなの かけなかりせは | 経信 |
| 111 | こすゑには はなもたまらす にはのおもの さくらにうすき ありあけのかけ | 伏見院 |
| 112 | はることの つらきならひに ちるとみて あるへきはなを なほやしたはむ | 為定(御子左二条為道男) |
| 113 | せめてわか ちかきまもりの ほとたにも みはしのさくら ちらさすもかな | 為定(御子左二条為道男) |
| 114 | はなさそふ かせはふくとも ここのへの ほかにはしはし ちらさすもかな | 伊尹 |
| 115 | さくらはな にほふにつけて ものそおもふ かせのこころの うしろめたさに | 顕季 |
| 116 | まちしより かねておもひし ちることの けふにもはなの なりにけるかな | 俊恵 |
| 117 | のとかなる こすゑはかりと おもひしに ちるもさかりと みゆるはなかな | 宮内卿(後鳥羽院) |
| 118 | くるとあくと みてもめかれす いけみつの はなのかかみの はるのおもかけ | 実方 |
| 119 | たにかくれ かせにしられぬ やまさくら いかてかはなの つひにちるらむ | 忠通 |
| 120 | みよしのの たきつかはうちに ちるはなや おちてもきえぬ みなわなるらむ | 良基(二条道平男) |
| 121 | おほゐかは さくらをつれて こすなみに せくともみえぬ みつのしからみ | 崇賢門院 |
| 122 | くもゐなる たかまのさくら ちりにけり あまつをとめの そてにほふまて | 後鳥羽院 |
| 123 | かせかよふ をのへのさくら ちりまかひ つもらぬほとも ゆきとみえつつ | 道嗣 |
| 124 | ちりまかふ はなのあとふく やまかせに かたみあたなる みねのしらくも | 実氏 |
| 125 | さくらいろも わかそめうつす からころも はなはとめける かたみたになし | 国夏 |
| 126 | さくらはな ちりぬるにはの さかりたに ありてうきよと はるかせそふく | 尊道法親王 |
| 127 | にはにたに とめぬあらしを かこたはや ちるをははなの とかになすとも | 後光厳院 |
| 128 | くもとみえ ゆきとふりても ととまらぬ ならひをはなに なほかこつかな | 時光 |
| 129 | むかしより うつろふからに うらむるを くるしきよとや はなのちるらむ | 帥 |
| 130 | うつつには さらにもいはす さくらはな ゆめにもちると みえはうからむ | 躬恒 |
| 131 | さそひゆく あらしのすゑも ふきまよひ このもとうすき はなのしらゆき | 師嗣 |
| 132 | はるかせの よそにさそはぬ はなならは このもとのみや ゆきとつもらむ | 為冬 |
| 133 | やまさくら ちりていくかそ ふみわくる あとたにふかき はなのしらゆき | 忠光 |
| 134 | やまひとの かへるつまきの おひかせに つもれとかろき はなのしらゆき | 後円融院 |
| 135 | このもとに ふるとみえても つもらぬは あらしやはらふ はなのしらゆき | 忠基(九条経教男) |
| 136 | おほろなる かけともみえす のきちかき はなにうつろふ はるのよのつき | 義詮 |
| 137 | このまもる かけともいはし よはのつき かすむもおなし こころつくしを | 伏見院 |
| 138 | さらてたに かけみえかたき ゆふつくよ いつるそらより まつかすみつつ | 良基(二条道平男) |
| 139 | よとともに かすめるつきの なとりかは なきなといはむ はれまたになし | 為重 |
| 140 | てりもせぬ ならひをはるの ひかりにて つきにかすみの はるるよそなき | 内経 |
| 141 | くらふやま このしたかけの いはつつし たたこれのみや ひかりなるらむ | 崇徳院 |
| 142 | いはつつし いはてやそむる しのふやま こころのおくの いろをたつねて | 定家 |
| 143 | みつとりの はかひのやまの はるのいろに ひとりましらぬ いはつつしかな | 順徳院 |
| 144 | きのふけふ かへすとみえて なはしろの あせこすみつも まつにこりつつ | 兼綱(藤原光業男) |
| 145 | いろもかも なつかしきかな かはつなく ゐてのわたりの やまふきのはな | 小町 |
| 146 | やまふきの はなこすなみも くちなしに うつろひゆくか ゐてのたまかは | 基忠(鷹司兼平男) |
| 147 | たきつせの たまちるみつや かかるらむ つゆのみしけき やまふきのはな | 俊成(藤原俊忠男) |
| 148 | ちるはなの かたみもよしや よしのかは あらぬいろかに さけるやまふき | 後宇多院 |
| 149 | をしめとも うつるひかすに ゆくはるの なこりをかけて さけるふちなみ | 為教 |
| 150 | ふちのはな こきむらさきの いろよりも をしむこころを たれかそめけむ | 元輔(清原) |
| 151 | わかゆきて いろみるはかり すみよしの きしのふちなみ をりなつくしそ | 兼盛 |
| 152 | まつかえに かかるよりはや とかへりの はなとそさける はるのふちなみ | 義満 |
| 153 | はるのひの のとけきやまの まつかえに ちよもとかかる きたのふちなみ | 良基(二条道平男) |
| 154 | みつのおもに さきたるふちを かせふけは なみのうへにも なみそたちける | 貫之 |
| 155 | いけのおもの みくさかたよる まつかせに みなそこかけて にほふふちなみ | 通相 |
| 156 | すゑのまつ さきこすふちの なみのまに またややよひの はるもくれなむ | 宣子(従一位) |
| 157 | ほりえこく かすみのをふね ゆきなやみ おなしはるをも したふころかな | 定家 |
| 158 | いまはたた のこるはかりの ひかすこそ とまらぬはるの たのみなりけれ | 為藤 |
| 159 | つもりぬる わかれははるに ならへとも なくさめかねて くるるそらかな | 俊成女 |
| 160 | いかはかり けふのくるるを なけかまし あすもとはるを おもはさりせは | 通親 |
| 161 | つきひとて やすくなすきそ くれてゆく やよひのそらの はるのわかれち | 実氏 |
| 162 | つれつれと はなをみつつそ くらしつる けふをしはるの かきりとおもへは | 躬恒 |
| 163 | ぬきかへて かたみとまらぬ なつころも さてしもはなの おもかけそたつ | 定家 |
| 164 | なつころも いそきかへつる かひもなく たちかさねたる はなのおもかけ | 越前(嘉陽門院) |
| 165 | けふといへは はやぬきかへぬ はなころも ちりていくかの かたみなりけむ | 深守法親王 |
| 166 | なにをかは はるのかたみと たつねまし こころありける おそさくらかな | 実衡女 |
| 167 | あをはにも しはしのこると みしはなの ちりてさなから しけるころかな | 為冬 |
| 168 | そてにこそ うつらさりけれ うのはなの かきねはかりの よはのつきかけ | 為子(贈従三位) |
| 169 | うのはなの かきねはかりの ゆふつくよ をちかたひとの みちやまよはむ | 浄弁 |
| 170 | ぬのさらす うちのわたりの かきねより めつらしけなく さけるうのはな | 実氏 |
| 171 | かみまつる けふはあふひの もろかつら やそうちひとの かさしにそさす | 教定(飛鳥井雅経男) |
| 172 | きみかよに ふたたひかさす あふひくさ かみのめくみも かさねてそしる | 読人不知 |
| 173 | きみかよに またたちかへり あふひくさ かけてそかみの めくみをはしる | 為道 |
| 174 | おほそらの ひかりになひく かみやまの けふのあふひや ひかけなるらむ | 匡房 |
| 175 | はるをいまは いたくもこひし あしひきの やまほとときす うらみもそする | 花山院 |
| 176 | つれなさや かはらさるらむ ひとことに まつとのみきく ほとときすかな | 為親 |
| 177 | またきかぬ うらみもあらし ほとときす なきぬとつくる ひとなかりせは | 実任 |
| 178 | ほとときす おのかはつねを こころから なかてやひとに うらみらるらむ | 忠岑 |
| 179 | いてなはと たのめもおかぬ やまのはの つきにまたるる ほとときすかな | 瑒子内親王 |
| 180 | なきぬへき ころとおもへは ほとときす ねさめにまたぬ あかつきそなき | 後二条院 |
| 181 | いまこむと たのめやはせし ほとときす ふけぬるよはを なにうらむらむ | 良経(九条兼実男) |
| 182 | つらきなの たつをはしらて ほとときす なくねはかりと なにしのふらむ | 後円融院 |
| 183 | つひにきく ものゆゑなとて ほとときす まついそかるる はつねなるらむ | 為氏 |
| 184 | やまさとに こそまてききし ほとときす みやこにまつと いかてしらせむ | 義将 |
| 185 | まちわふる こころにまけよ ほとときす しのふならひの はつねなりとも | 経継 |
| 186 | しのひねを たれにしらせて ほとときす まれなるころに またれそめけむ | 家良 |
| 187 | こころをも われこそつくせ ほとときす たかためをしむ はつねなるらむ | 義詮 |
| 188 | わきてまつ われにかたらへ ほとときす まつらむさとは あまたありとも | 春日(昭訓門院)→公宗母 |
| 189 | ほとときす ひとつてにのみ ききふりて うきみよそなる ねこそつらけれ | 実継 |
| 190 | ちえにこそ かたらはすとも ほとときす しのたのもりの ひとこゑもかな | 慈円 |
| 191 | ほとときす いまやみやこへ いつみなる しのたのもりの あけかたのこゑ | 知家 |
| 192 | これそけに はつねなるらむ きくひとも まちあへぬまの ほとときすかな | 後嵯峨院 |
| 193 | ほとときす おもひもわかぬ ひとこゑを ききつといかか ひとにかたらむ | 西行 |
| 194 | あくるをそ まつへかりける よこくもの みねよりいつる ほとときすかな | 氏村 |
| 195 | やまちをは けさこえぬとや ほとときす やかておとはの さとになくらむ | 為重 |
| 196 | このさとも なほつれなくは ほとときす いつくのやまの おくをたつねむ | 家経(一条実経男) |
| 197 | よひのまも おほつかなきを ほとときす なくなるこゑの ほとのはるけき | 赤人 |
| 198 | しらせはや たたひとこゑの ほとときす まちしにまさる こころつくしを | 公清 |
| 199 | なへてよに つれなきよりも ほとときす さとわくころの ねこそつらけれ | 為秀 |
| 200 | ときははや しりぬるころの ほとときす このさとひとも ききやふるらむ | 宣子(従三位) |
| 201 | いくこゑと かそへむものを ほとときす なきつとはかり なにおもひけむ | 義満 |
| 202 | あやめくさ けふはかけよと なかきねを そてよりみする ときはきにけり | 義満 |
| 203 | なかきよの ためしにひけは あやめくさ おなしよとのは わかれさりけり | 妍子 |
| 204 | おりたちて ひけるあやめの ねをみてそ けふよりなかき ためしともしる | 道長 |
| 205 | あやめくさ けふかるあとに のこれるや よとのにおふる まこもなるらむ | 経教 |
| 206 | ひきむすふ あやめのくさの まくらをは たひとやいはむ ひとよねにけり | 道嗣 |
| 207 | なかきねを ひくにまかせて ぬまみつの ふかさしらるる あやめくさかな | 公宗(西園寺実衡男) |
| 208 | かくれぬに おひてねふかき あやめくさ こころもしらす たれかひくらむ | 寛尊法親王 |
| 209 | さみたれは あやめのくさの しつくより なほおちまさる のきのたまみつ | 後光厳院 |
| 210 | さみたれは やとにつくまの あやめくさ のきのしつくに かれしとそおもふ | 匡房 |
| 211 | をやまたに みつひきわふる しつのをか こころやはるる さみたれのそら | 寂蓮 |
| 212 | たねまきし わさたのさなへ うゑてけり いつあきかせの ふかむとすらむ | 俊成(藤原俊忠男) |
| 213 | をやまたに いたゐのしみつ くみためて わかかとさらす とるさなへかな | 為藤 |
| 214 | すきたてる そとものたにに みつおちて さなへすすしき やまのしたかけ | 進子内親王 |
| 215 | さなへとる おなしたのもの やまかけの くるるかたより かへるさとひと | 為定(御子左二条為道男) |
| 216 | にほひくる はなたちはなの ゆふかせは たかむかしをか おとろかすらむ | 忠基(九条経教男) |
| 217 | ためしある みはしのみきに うつるより なほそてふれて にほふたちはな | 義満 |
| 218 | わかやとの はなたちはなに ほとときす よふかくなけは こひまさりけり | 家持 |
| 219 | なくねをや しのひはてまし ほとときす おのかさつきの なきよなりせは | 道嗣 |
| 220 | なつのよの つきまつほとは ほとときす わかやとはかり すきかてになけ | 清正 |
| 221 | をちかへり なきふるせとも ほとときす なほあかなくに けふはくらしつ | 実雄 |
| 222 | をちこちに はやなきふるす ほとときす いまはききても たれにかたらむ | 為尹 |
| 223 | なつのよの ゆめちにきなく ほとときす さめてもこゑは なほのこりつつ | 後鳥羽院 |
| 224 | さみたれの をやむはれまの ひかけにも なほくもふかし あまのかくやま | 俊成女 |
| 225 | くれぬとて いつへきつきも まちわひぬ くもにみねなき さみたれのころ | 為重 |
| 226 | いととなほ やへたつくもの さみたれに よかはのみつも さそまさるらむ | 国量 |
| 227 | さみたれに をささかはらを みわたせは ゐなのにつつく こやのいけみつ | 兵衛内侍(順徳院) |
| 228 | まこもおふる いかほのぬまの いかはかり なみこえぬらむ さみたれのころ | 順徳院 |
| 229 | ひをふれは もとのみちさへ わすれみつ のさはとなれる さみたれのころ | 実兼 |
| 230 | にはのおもに まかせしみつも いはこえて よそにせきやる さみたれのころ | 家隆 |
| 231 | さみたれの みかさをみれは あすかかは きのふのふちも あさせなりけり | 義詮 |
| 232 | あすかかは あすさへふらは ふちはせに かはるもしらし さみたれのころ | 師嗣 |
| 233 | みよしのや かはおとたかき さみたれに いはもとみせぬ たきのしらあわ | 後円融院 |
| 234 | そこきよく なりそしぬらし さみたれに もくつなかるる やまかはのみつ | 実俊(西園寺公宗男) |
| 235 | なのみして やまはあさひの かけもみす やそうちかはの さみたれのころ | 頓阿 |
| 236 | みなとかは うはなみはやく かつこえて しほまてにこる さみたれのころ | 為相 |
| 237 | いととなほ いりうみとほく なりにけり はまなのはしの さみたれのころ | 国道(津守国助男) |
| 238 | さみたれに おちそふたきの しらたまや やかてふりゆく ひかすなるらむ | 為定(御子左二条為道男) |
| 239 | しはしほす なみのまもなし あまころも たみののしまの さみたれのころ | 良基(二条道平男) |
| 240 | いせのあまの しほやきころも このほとや すつとはいはむ さみたれのころ | 国夏 |
| 241 | なにはかた こやのやへふき もりかねて あしまにやとる なつのよのつき | 行能 |
| 242 | わすれては はるかとそおもふ かやりひの けふりにかすむ なつのよのつき | 基氏(足利尊氏男) |
| 243 | ふけてこそ おくへきしもを よひのまに しはしみせたる にはのつきかけ | 為遠 |
| 244 | みるほとも なくてあけゆく なつのよの つきもやひとの おいとなるらむ | 澄弁 |
| 245 | まちいつる やまのはなから あけにけり つきにみしかき なつのよのそら | 通陽門院 |
| 246 | なつのよは ともしのしかの めをたにも あはせぬほとに あけそしにける | 和泉式部 |
| 247 | さつきやみ ともすほくしの まつやまに まつとてしかの よらぬよもなし | 為重 |
| 248 | おほゐかは やまもととほく こきつれて ひろせにならふ かかりひのかけ | 為世(御子左藤原為氏男) |
| 249 | うかひふね のほりもやらぬ おなしせに ともまちそふる かかりひのかけ | 光吉 |
| 250 | うかひふね くたすはやせの かはなみに なかれてきえぬ かかりひのかけ | 時光 |
| 251 | なつくさは しけりにけりな おほえやま こえていくのの みちもなきまて | 忠定(藤原兼宗男) |
| 252 | はるそみし みつのみまきに あれしこま ありもやすらむ くさかくれつつ | 家隆 |
| 253 | わきもこか やとのさゆりの はなかつら なかきひくらし かけてすすまむ | 良経(九条兼実男) |
| 254 | ほにいてぬ をはなかもとの くさのなも かつあらはれて とふほたるかな | 良基(二条道平男) |
| 255 | みつくらき いはまにまよふ なつむしの ともしけたても よをあかすかな | 式子内親王 |
| 256 | むすふての あかぬしつくも かけみえて いしゐのみつに とふほたるかな | 資康 |
| 257 | かせをいたみ はすのうきはに やとしめて すすしきたまに かはつなくなり | 後鳥羽院 |
| 258 | かせかよふ いけのはちすは なみかけて かたふくかたに つたふしらたま | 実教 |
| 259 | ゆふたちの ふりくるいけの はちすはに くたけてもろき つゆのしらたま | 光厳院 |
| 260 | おのつから かたへのくもや はれぬらむ やまのはとほき ゆふたちのそら | 弁内侍 |
| 261 | なつやまの このはのいろは そめねとも しくれににたる ゆふたちのそら | 成茂 |
| 262 | ひとむらは やかてすきぬる ゆふたちの なほくものこる そらそすすしき | 能清 |
| 263 | ゆふたちの ひとむらすすき つゆちりて むしのねそはぬ あきかせそふく | 杲守 |
| 264 | なるかみの おとはかりかと きくほとに やまかせはけし ゆふたちのそら | 為定(御子左二条為道男) |
| 265 | いなつまの ひかりのまとも いふはかり はやくそはるる ゆふたちのそら | 公蔭 |
| 266 | ゆふたちの かつかつはるる くもまより あめをわけても さすひかけかな | 為世(御子左藤原為氏男) |
| 267 | すきにけり のきのしつくは のこれとも くもにおくれぬ ゆふたちのあめ | 後宇多院 |
| 268 | ゆくすゑは つゆたにおかし ゆふたちの くもにあまれる むさしののはら | 読人不知 |
| 269 | むらさめの なこりのつゆは かつおちて こすゑにとまる せみのもろこゑ | 実教 |
| 270 | あめはるる ゆふかけやまに なくせみの こゑよりおつる ききのしたつゆ | 俊光女 |
| 271 | わけすくる やましたみちの おひかせに はるかにおくる せみのもろこゑ | 実泰 |
| 272 | せみのはの ころもにあきを まつらかた ひれふるやまの くれそすすしき | 定家 |
| 273 | すすしさは いつれともなし まつかせの こゑのうちなる やまのたきつせ | 良基(二条道平男) |
| 274 | しつかなる こころのうちや まつかけの みつよりもなほ すすしかるらむ | 頼之 |
| 275 | やまもとの ならのこかけの ゆふすすみ いはもるみつに あきかせそふく | 雅孝 |
| 276 | すすしくは ゆきてをくまむ みくさゐる いたゐのしみつ さととほくとも | 後醍醐院 |
| 277 | まつたてる よさのみなとの ゆふすすみ いまもふかなむ おきつしほかせ | 良経(九条兼実男) |
| 278 | あしのはに かくれてすめは なにはめの こやはなつこそ すすしかりけれ | 好忠 |
| 279 | なにはひと みそきすらしも なつかりの あしのひとよに あきをへたてて | 尊氏 |
| 280 | みたらしや たかみそきとも しらゆふの しらすなかるる なつのくれかな | 為遠 |
| 281 | みたらしや ひくてもけふは おほぬさの いくせになかす みそきなるらむ | 尊道法親王 |
| 282 | みそきかは としもこよひの なかそらに ふくるをあきと かせそすすしき | 資名 |
| 283 | みそきして かへさよふかき かはなみの あきにかかれる おとのすすしさ | 覚誉法親王 |
| 284 | かはのせに おふるたまもの ゆくみつに なひきてもする なつはらへかな | 顕輔 |
| 285 | あさとあけの のきはのをきに ふきてけり ひとはのさきの あきのはつかせ | 良基(二条道平男) |
| 286 | このねぬる あさけのかせの かはるより をきのはそよき あきやきぬらむ | 尊氏 |
| 287 | きのふまて ひとにまたれし すすしさを おのれといそく あきのはつかせ | 為相 |
| 288 | すすしさの まさるはかりを ふきかはる かせとてけふは あきやきぬらむ | 道嗣 |
| 289 | けふよりは あきのはしめと きくからに そてこそいたく つゆけかりけれ | 高明 |
| 290 | かせかはる なつのあふきは てになれて そてにまつおく あきのしらつゆ | 俊成女 |
| 291 | ふちはせに かはらぬほとも あまのかは としのわたりの ちきりにそしる | 為子(贈従三位) |
| 292 | かささきの わたせるはしの ひまをとほみ あはぬたえまの おほくもあるかな | 花園院 |
| 293 | としをへて けふよりほかの あふせをは たかしからみそ あまのかはなみ | 後円融院 |
| 294 | きてもなほ うすきちきりや うらむらむ としにまれなる あまのはころも | 性助法親王 |
| 295 | たなはたの こひもうらみも いかにして ひとよのほとに いひつくすらむ | 法守法親王 |
| 296 | よのほとの つゆのしたをき おとたてて けさほにしるき あきかせそふく | 義満 |
| 297 | あきかせの ふきしくときは をきのはの おとそなかなか きこえさりける | 経教 |
| 298 | おとつるる なさけはかりを まちえても おのれさひしき をきのうはかせ | 実兼 |
| 299 | をきのはの つゆをもそてに さそひきて あまるなみたに あきかせそふく | 行氏(祝部行言男) |
| 300 | さをしかの あさたつあとも あらはれて つゆまはらなる のへのはきはら | 定資 |
| 301 | みやきのに しからむしかの あとなれや もとあらのこはき つゆもたまらす | 通陽門院 |
| 302 | みやきのの つゆわけころも あさたては わすれかたみの はきかはなすり | 忠定(藤原兼宗男) |
| 303 | つゆのぬき よわきもしらす みやきのの はきのにしきに あきかせそふく | 通藤女 |
| 304 | まはきさく あきのはなのの すりころも つゆにまかせて なほやわけまし | 行輔 |
| 305 | さきてこそ のなかのみつに うつりけれ ふるえのはきの もとのこころは | 為定(御子左二条為道男) |
| 306 | ここのへや いますむやとの はきのとも いくよふるえの いろにさくらむ | 後円融院 |
| 307 | のへことに まねけはとても はなすすき そてをたのみて くるひともなし | 為世(御子左藤原為氏男) |
| 308 | まねくとて ゆくもとまるも おなしのに ひとたのめなる はなすすきかな | 実雄 |
| 309 | まねくとは よそにみれとも はなすすき われかといひて とふひとそなき | 長舜 |
| 310 | うちはらふ そてよりなひく はつをはな わくるをのへと あきかせそふく | 頼之 |
| 311 | はなすすき たれをとまれと いはくらの をののあきつに ひとまねくらむ | 為藤 |
| 312 | いまよりの たかたまくらも よさむにて いるののすすき あきかせそふく | 宗尊親王 |
| 313 | きのふまて よもきにとちし しはのとも のわきにはるる をかのへのさと | 良経(九条兼実男) |
| 314 | かりにさす いほりまてこそ なひきけれ のわきにたへぬ をののしのはら | 家隆 |
| 315 | さきましる はなのあたなも たちぬへし なにみたるらむ のへのかるかや | 瞻西 |
| 316 | まつむしの なくかたとほく さくはなの いろいろをしき つゆやこほれむ | 定家 |
| 317 | くれゆけは むしのねにさへ うつもれて つゆもはらはぬ よもきふのやと | 実兼 |
| 318 | あしかきの ましかきほとの きりきりす おもひやなそと いかてとはまし | 為氏 |
| 319 | よそにきく こゑたにあるを きりきりす まくらのしたに なにうらむらむ | 良基(二条道平男) |
| 320 | あかつきの まくらのしたに すみなれて ねさめこととふ きりきりすかな | 後嵯峨院 |
| 321 | みるままに かとたのおもは くれはてて いなはにのこる かせのおとかな | 義詮 |
| 322 | みわたせは やまたのほなみ かたよりに なひけはやかて あきかせそふく | 崇賢門院 |
| 323 | ゆめさむる ひたのいほりの あけかたに しかのねさむく あきかせそふく | 俊光 |
| 324 | おもひいる やまにてもまた なくしかの なほうきときや あきのゆふくれ | 雅経 |
| 325 | つまこひの こころはしらす さをしかの つきにのみなく こゑそふけゆく | 業子(従二位) |
| 326 | こころから あはれならひの つまこひに たかあきならぬ さをしかのこゑ | 後円融院 |
| 327 | あきをへて かはらぬこゑに なくしかは おなしつまをや こひわたるらむ | 読人不知 |
| 328 | まはきちる あきののかせや さむからし なほこのくれは しかそなくなる | 成光(祝部成国男) |
| 329 | ねにたてて あきにかはらぬ つまこひを なれぬるものと しかやなくらむ | 資教 |
| 330 | なかめしと おもひすつれと あはれのみ みにそひてうき あきのゆふくれ | 為世(御子左藤原為氏男) |
| 331 | ひとかたに おもひわくへき みのうさの それにもあらぬ あきのゆふくれ | 為重 |
| 332 | たかかたに よるなくかりの ねにたてて なみたうつろふ むさしののはら | 定家 |
| 333 | かりかねの かきつらねたる たまつさを たえたえにけつ けふのあききり | 崇徳院 |
| 334 | きりはれぬ そらにはそこと しらねとも くるをたのむの かりのたまつさ | 覚家 |
| 335 | たかためと うはのそらなる たまつさを かならすかけて かりはきぬらむ | 経教 |
| 336 | いくちさと ほとはくもゐの あきことに みやこをたひと かりのきぬらむ | 是則 |
| 337 | いつしかと なきてきにけり あきかせの よさむしらるる ころもかりかね | 義詮 |
| 338 | このさとは むらさめふりて かりかねの きこゆるやまに あきかせそふく | 宗尊親王 |
| 339 | さほやまの こすゑもいろや かはるらむ きりたつそらに かりはきにけり | 家良 |
| 340 | をちかたの きりのうちより ききそめて つきにちかつく はつかりのこゑ | 覚誉法親王 |
| 341 | はつかりの きなくときはの もりのつゆ そめぬしつくも あきはみえけり | 定家 |
| 342 | かへりみは こなたもさこそ へたつらめ きりにわけいる あきのたひひと | 実氏 |
| 343 | みねになる ゆふひのかけは のこれとも きりよりくるる をちのやまもと | 道平 |
| 344 | かはきりの みをもすゑより ひまみえて たえたえおつる うちのしはふね | 読人不知 |
| 345 | たちくもる きりのへたても すゑみえて あふくまかはに あまるしらなみ | 為重 |
| 346 | たちこむる せきちもしらぬ ゆふきりに なほふきこゆる すまのあきかせ | 俊成女 |
| 347 | くるるより やかてまたるる こころにも ならはておそき やまのはのつき | 基嗣 |
| 348 | いてやらぬ みねよりをちの つきかけに あたりうつろふ むらくものそら | 実俊(西園寺公宗男) |
| 349 | ほともなく まつよりうへに なりにけり このまにみつる やまのはのつき | 尊氏 |
| 350 | みねこゆる ほとこそしらね ゐるくもの たちそふひまを いつるつきかけ | 為遠 |
| 351 | いはみかた たかつのやまに くもはれて ひれふるみねを いつるつきかけ | 後鳥羽院 |
| 352 | むらくもも やまのはとほく なりはてて つきにのみふく みねのまつかせ | 伏見院 |
| 353 | あらしふく みねのうきくも さそはれて こころもそらに すめるつきかけ | 伏見院 |
| 354 | ゆくへなく たたよふくもを ふきかけて かせにもしはし くもるつきかな | 後光厳院 |
| 355 | そらにすむ ものならなくに わかこころ つきみるたひに あくかれてゆく | 後宇多院 |
| 356 | くもきゆる ちさとのほかの そらさえて つきよりうつむ あきのしらゆき | 良経(九条兼実男) |
| 357 | やまのはの つきにたちそふ うきくもの よそになるまて あきかせそふく | 盛徳 |
| 358 | ふきわくる このまもしるし あきかせに つれていてぬる やまのはのつき | 国久 |
| 359 | くもはらふ かせのあとより いてそめて さはるかけなき あきのよのつき | 成国(祝部) |
| 360 | さそはれて つきにかかれる うきくもも やかてはれゆく よはのあきかせ | 経氏 |
| 361 | あまのはら つきのみやこも たましきの ひかりにみかく あきかせそふく | 国夏 |
| 362 | あまつかせ いかにふくらむ ひさかたの くものかよひち つきそさやけき | 為定(御子左二条為道男) |
| 363 | さらしなや をはすてやまも さもあらはあれ たたわかやとの くものうへのつき | 後二条院 |
| 364 | あふさかの せきのすきむら きりこめて たちともみえぬ ゆふかけのこま | 堀河(待賢門院) |
| 365 | きよみかた なみちさやけき つきをみて やかてこころや せきをもるらむ | 俊成(藤原俊忠男) |
| 366 | おもひいてよ つゆをひとよの かたみにて ささわくるのへの そてのつきかけ | 俊成女 |
| 367 | さをしかの しからむはきに あきみえて つきもいろなる のちのたまかは | 仲光 |
| 368 | たえたえに みゆるのなかの わすれみつ よかれかちにや つきもすむらむ | 有家(藤原重家男) |
| 369 | よもきふの つゆのみふかき ふるさとに もとみしよりも つきそすみける | 為兼 |
| 370 | よもすから そらをうつして ゆくみつに なかれてふくる つきのかけかな | 実教 |
| 371 | みしまえは あしのはかくれ しけけれは こきいててみる あきのよのつき | 国道(津守国助男) |
| 372 | みつやそら そらやみつとも みえわかす かよひてすめる あきのよのつき | 読人不知 |
| 373 | あきたもる かりほのとまや うすからし つきにぬれたる よひのさむしろ | 順徳院 |
| 374 | あけぬとは よひよりみつる つきなれと いまそかとたに しきもなくなる | 守覚法親王 |
| 375 | きりはるる たのものすゑの やまのはに つきたちいてて あきかせそふく | 国助 |
| 376 | わさたもる とこのあきかせ ふきそめて かりねさひしき つきをみるかな | 秀能(藤原秀宗男) |
| 377 | よなよなは つきのかけもや うつるらむ とほやまとりの をろのかかみに | 為定(御子左二条為道男) |
| 378 | あまのかは くものしからみ もれいてて みとりのせせに すめるつきかけ | 後円融院 |
| 379 | つきのふね さしいつるより そらのうみ ほしのはやしは はれにけらしも | 読人不知 |
| 380 | ひさかたの なかにありてふ さとのなを そらにしれとも すめるつきかな | 経国 |
| 381 | かすならぬ みをしるそての なみたとも つきよりほかは たれかとふへき | 慶融 |
| 382 | あくかるる こころのはてよ いつくまて さやけきよはの つきにそふらむ | 為冬 |
| 383 | あくかれむ こころのはても みのうさも あきにまかせて つきをみるかな | 為信 |
| 384 | もろともに みるとはなしに ゆきかへり つきにさをさす ふなちなりけり | 仲実 |
| 385 | さしかへる しつくもそての かけなれは つきになれたる うちのかはをさ | 為家 |
| 386 | つきかけも にほてるうらの あきなれは しほやくあまの けふりたになし | 為家 |
| 387 | ゆふしほの さすにはつれし かけなから ひかたにのこる あきのよのつき | 後円融院 |
| 388 | ふねとむる いそのまつかけ くるるまに はやつきのほる うらのとほやま | 基氏(足利尊氏男) |
| 389 | つきはかり すめとそなれる ささなみや あれにしさとは しかのうらかせ | 義満 |
| 390 | かかみやま くもらぬあきの つきなれは ひかりをみかく しかのうらなみ | 高倉 |
| 391 | やまのなを わきてはいはし つきかけの にほてるうみも かかみなりけり | 道嗣 |
| 392 | ささなみの おとにもよはや ふけぬらし つきにしつまる しかのうらかせ | 頼春 |
| 393 | あくかれて ことうらならは いてなまし すまのうきねに みつるつきかけ | 基成 |
| 394 | みちとほき さののふなはし よをかけて つきにそわたる あきのたひひと | 信実 |
| 395 | あらちやま やたのひろのの つきかけに やとりのこさぬ あさちふのつゆ | 長秀 |
| 396 | をささしく ゐなののつきの ふくるよに ふしはらさむき つゆのたまくら | 宣子(従一位) |
| 397 | ふけぬるか つゆのやとりも よさむにて あさちかつきに あきかせそふく | 伏見院 |
| 398 | あれまもる のきはのつきは つゆしけき しのふよりこそ やとりそめけれ | 守覚法親王 |
| 399 | ぬれてこそ つきをもやとせ わかそての つゆをはほさし なみたなりとも | 信実 |
| 400 | それをたに みのおもひてと なくさめて あきのいくよか つきをみつらむ | 隆教 |
| 401 | たれにまた つきよりほかは うれへまし なれぬやまちの あきのこころを | 伏見院 |
| 402 | すゑのまつ まつよふけゆく そらはれて なみよりいつる やまのはのつき | 有家(藤原重家男) |
| 403 | おとはかり しくるとそきく つきかけの くもらぬよはの みねのまつかせ | 尊氏 |
| 404 | やまかせに しくるるまつを もるつきは くもまにいつる かけかとそみる | 光之 |
| 405 | まこととも たれかおもはむ ひとりみて のちにこよひの つきをかたらは | 西行 |
| 406 | おもふこと わかみにありや そらのつき かたしくそてに おけるしらつゆ | 後鳥羽院 |
| 407 | つもるとて いとひしかとも みはふりぬ いまはあくまて つきをたにみむ | 知家 |
| 408 | つもるとも なにのためにか いとふへき おいぬるのちの あきのよのつき | 光俊(葉室光親男) |
| 409 | みひとつに つもりはてたる おいなれは こころのままに つきをこそみれ | 公雄 |
| 410 | よさむなる のてらのかねは おとつれて あさちかしもと すめるつきかけ | 国冬 |
| 411 | はつせやま あけぬとつきに おとろけは よふかきかねの おとそきこゆる | 資宣 |
| 412 | いつるより いるまてみるを あきのよの つきにはたれか ねさめしつらむ | 貞秀 |
| 413 | にしになる かけはこのまに あらはれて まつのはみゆる ありあけのつき | 為世(御子左藤原為氏男) |
| 414 | あきのよの ふかきあはれは ありあけの つきみしよりそ しくれそめにし | 俊成(藤原俊忠男) |
| 415 | つゆはまた むすひもかへぬ つきかけを くさはのしもと むしやなくらむ | 為敦 |
| 416 | よもすから つゆのやとりに なくむしの なみたかすそふ にはのあさちふ | 宗秀(大江時秀男) |
| 417 | よひのまに おくなるのへの つゆよりも なほことしけき むしのこゑかな | 良基(二条道平男) |
| 418 | なかきよは たえまもあれや きりきりす なきつくすへき うらみならぬを | 資明 |
| 419 | きりきりす なくねもかなし ひとしれす あきのおもひの ふかきねさめに | 御匣 |
| 420 | なみをこす をはなかもとに よわるなり よさむのすゑの まつむしのこゑ | 国冬 |
| 421 | ことしみる わかもとゆひの はつしもに みそちあまりの あきそふけぬる | 良経(九条兼実男) |
| 422 | さとひとは ころもうつなり しからきの とやまのあきや よさむなるらむ | 頓阿 |
| 423 | からころも このさとひとの うつこゑを ききそめしより ぬるよはそなき | 顕仲(源顕房男) |
| 424 | さとひとや よさむのしもの おきゐつつ ふくるもしらす ころもうつらむ | 定宗(藤原家親男) |
| 425 | さよころも うつおとさむし あきかせの ふけゆくそてに しもやおくらむ | 長綱(菅原茂長男) |
| 426 | あくかるる こころなれはや さよころも あくるもしらす つきにうつらむ | 為連 |
| 427 | あきふかき よさむはさとを わかねはや おなしこころに ころもうつらむ | 覚済 |
| 428 | さよふけて なかはたけゆく つきかけに あかてやひとの ころもうつらむ | 実朝 |
| 429 | よひのまは しはしとたえて ありあけの つきよりさらに うつころもかな | 義満 |
| 430 | あすかには ころもうつなり たをやめの そてのあきかせ よさむなるらし | 行家(藤原知家男) |
| 431 | やまみつの おいせぬちよを せきとめて おのれうつろふ しらきくのはな | 定家 |
| 432 | つゆとても あたにやはみる なかつきの きくはちとせを すくすとおもへは | 貫之 |
| 433 | いつまてか おいせぬあきと かさしけむ いたたくしもの しらきくのはな | 基任 |
| 434 | わけすくる やまちのきくの はなのかに ぬれてもほさぬ そてのしらつゆ | 為定(御子左二条為道男) |
| 435 | ひかすこそ うつろひはてめ くれてゆく あきをはのこせ にはのしらきく | 実教 |
| 436 | しらきくの ひといろならす うつろふや やへさくはなの しるしなるらむ | 実直母 |
| 437 | ふるさとの かきほのつたも いろつきて かはらのまつに あきかせそふく | 宗尊親王 |
| 438 | はつしもの をかのくすはら いまよりは うらかれわたる あきかせそふく | 行朝 |
| 439 | いととしく よをなかつきに なりぬれは ねさめかちにて あかすへきかな | 好忠 |
| 440 | あけかたに あきのねさめや なりぬらむ のこるかたなく ものそかなしき | 家隆 |
| 441 | ゆふされは かりのこえゆく たつたやま しくれにきほひ いろつきにけり | 読人不知 |
| 442 | はつしくれ ふりにしひより あしひきの やまのこのはは もみちしぬらし | 法守法親王 |
| 443 | つゆしもの おくあしたより かみなひの みむろのやまは いろつきにけり | 人麿 |
| 444 | ひにそへて いろこそまされ きのふより けふはしくるる みねのもみちは | 欣子内親王 |
| 445 | そめてけり しくれもつゆも ほしやらぬ しつくのもりの あきのもみちは | 実継 |
| 446 | からにしき おりはへそめよ やまひめの たちきるそての つゆもしくれも | 読人不知 |
| 447 | たつたひめ もみちのいほに すみなさは たまらてそめよ つゆもしくれも | 読人不知 |
| 448 | むらしくれ ふりいててそむる くれなゐも いまいくしほの もみちなるらむ | 和義 |
| 449 | からにしき しくれのあめの たてぬきに おりかけてほす やまのもみちは | 国夏 |
| 450 | たつたかは もみちをみつの みかさとや うつるもふかき いろにみゆらむ | 良基(二条道平男) |
| 451 | もみちはも たかみそきとて たつたやま あきかせふけは ぬさとちるらむ | 国冬 |
| 452 | となせかは やまもひとつの もみちはに そめてのこらぬ たきのしらいと | 兼綱(藤原光業男) |
| 453 | となせかは もみちにむせふ たきつせの なかなるよとや いろまさるらむ | 義将 |
| 454 | またきより ちるかとそみる もみちはの うつりておつる やまのたきつせ | 公忠(藤原実忠男) |
| 455 | あらしやま ちらぬもみちの かけなから うつれはおつる たきのしらなみ | 実時(藤原公清男) |
| 456 | あきふかき もみちのぬさの からにしき けふもたむけの やまそしくるる | 為兼 |
| 457 | ゆくあきの すゑはのあさち つゆはかり なほかけとむる ありあけのつき | 伏見院 |
| 458 | なこりをは ゆふへのくもに ととめおきて あすとたになき あきのわかれち | 弁内侍 |
| 459 | あきよりも おとそさひしき かみなつき あらぬしくれや ふりかはるらむ | 宗尊親王 |
| 460 | けさはなほ しくれもあへす かみなつき ひかすやふゆの はしめなるらむ | 為定(御子左二条為道男) |
| 461 | しからきの とやまのくもの うちしくれ けふやさとひと ふゆをしるらむ | 尊氏 |
| 462 | そてぬれし あきのなこりも したはれて しくれをふゆと さためかねつつ | 実雄 |
| 463 | ふるもかつ はるるそやすき わかそての なみたはからぬ しくれなりけり | 深守法親王 |
| 464 | かせにゆく たたひとむらの うきくもに あたりははれて ふるしくれかな | 為世(御子左藤原為氏男) |
| 465 | ききなれし このはのおとは それなから しくれにかはる かみなつきかな | 高秀 |
| 466 | やまかせの さそひもやらぬ うきくもの たたよふそらは なほしくれつつ | 為量 |
| 467 | わきてまた くもるとはなき むらくもの ゆききにつけて うちしくれつつ | 道意(西園寺実兼男) |
| 468 | やまのはに しはしたえまの あるほとや さとまてめくる しくれなるらむ | 国冬 |
| 469 | くもるとも わかぬやまちの このまより ひかけとともに もるしくれかな | 慶運 |
| 470 | やまのはに たたよふくもの はれすのみ うきてしくれの ふらぬひそなき | 公守 |
| 471 | あはちしま むかひのくもの むらしくれ そめもおよはぬ すみよしのまつ | 定家 |
| 472 | あらしやま もろきこのはに ふりそへて みねゆくくもも またしくれつつ | 為氏 |
| 473 | さそはるる あらしとともに しくれきて のきはにちるは このはなりけり | 泰宗 |
| 474 | かみなつき いまやおちはの はつしくれ にはをこすゑに そめかへてけり | 行春(二階堂時元男) |
| 475 | やまかせの ふくかたにのみ さそはれて このははねにも かへらさりけり | 藤経(源) |
| 476 | あしひとの やまおろしふきて ふゆはきぬ いかにこのはの ふりまさるらむ | 公朝 |
| 477 | とやまなる ならのおちはを さそひきて かれのにさわく こからしのかせ | 能清 |
| 478 | ちしほとは なにいそきけむ いろふかき このはよりこそ ちりそめにけれ | 道嗣 |
| 479 | よもやまの ききのもみちも ちりはてて ふゆはあらはに なりにけるかな | 重之女 |
| 480 | こすゑには さてもかへらぬ もみちはを にはよりおくる こからしのかせ | 一条(昭慶門院) |
| 481 | おちつもる ほとよりうすき もみちかな あらしやにはを またはらふらむ | 忠光 |
| 482 | みたれつる おちははにはに しつまりて よわるあらしを こすゑにそきく | 良基(二条道平男) |
| 483 | はつしもは ふりにけらしな しなかとり ゐなのささはら いろかはるまて | 俊成(藤原俊忠男) |
| 484 | すみよしの ちきのかたそき ゆきもあはて しもおきまよふ ふゆはきにけり | 俊頼(源経信男) |
| 485 | ひとめさへ かれゆくしもの ふるさとに のこるもさひし にはのふゆくさ | 成光(祝部成国男) |
| 486 | かれのこる ふゆののをはな うちなひき たかたまくらも しもやおくらむ | 為定(御子左二条為道男) |
| 487 | なにはかた あしのかれはに かせさえて みきはのたつも しもになくなり | 俊成(藤原俊忠男) |
| 488 | なにはえや あしのよなよな しもこほり かれはみたれて うらかせそふく | 為重 |
| 489 | いりえなる あしのしもかれ かりにたに なにはのふゆを とふひともかな | 国助 |
| 490 | なにはかた かれてもたてる あしのはの をれふすまてと うらかせそふく | 雅家 |
| 491 | しもさやく よはもふけゆく ささのはに こほれるつきを はらふやまかせ | 義種 |
| 492 | しもかれの のなかにこほる わすれみつ しのふかけなき ふゆのよのつき | 重時 |
| 493 | ねやのうへに つもるこのはを ふきわけて かせそいたまの つきはみせける | 公時(藤原実国男) |
| 494 | むらくもの かかれとてしも うはたまの よわたるつきの なとしくるらむ | 行家(藤原知家男) |
| 495 | しくれつる むらくもなから ふくかせを しらてやつきの やまをいつらむ | 順徳院 |
| 496 | きよたきや いはまによとむ ふゆかはの うへはこほりに むすふつきかけ | 順徳院 |
| 497 | そこまては やとるともみす やまかはの こほりのうへを みかくつきかけ | 隆博 |
| 498 | そらよりも かけやさゆらむ いけみつの こほりにやとる ふゆのよのつき | 義詮 |
| 499 | ひさかたの つきのかかみと なるみつを みかくはふゆの こほりなりけり | 資季 |
| 500 | ふたみかた つきかけさえて ふくるよに いせしまとほく ちとりなくなり | 尊氏 |
| 501 | さよちとり うらつたひゆく なみのうへに かたふくつきも とほさかりぬる | 良平 |
| 502 | かせによる なみのまくらを いとひきて しほひやとこと ちとりなくらむ | 後円融院 |
| 503 | ともちとり なにをかたみの うらつたひ あとなきなみに なきてゆくらむ | 為定(御子左二条為道男) |
| 504 | なみよりも さきにとたちて うらかせの ふきこすいそに なくちとりかな | 親雅 |
| 505 | おきつなみ たちもかへらて しほかせの ふきしくかたに なくちとりかな | 周清 |
| 506 | ふねいたす よさのみなとの あけかたに ともよふこゑは ちとりなりけり | 資明 |
| 507 | とけてねぬ すまのせきもり よやさむき ともよふちとり つきになくなり | 義詮 |
| 508 | かちまくら うきねもさむき うらかせに ゆめをさそひて なくちとりかな | 氏頼 |
| 509 | ふゆのよは つかはぬをしも ともとみよ おなしいりえに やとるつきかけ | 為子(贈従三位) |
| 510 | あふことの ととこほりたる みつのうへに つかはぬをしの うきねをそなく | 安芸(郁芳門院) |
| 511 | おくしもを はらひかねてや あをはなる かものはかひも いろかはるらむ | 尊氏 |
| 512 | したくくる みちとみしまに にほとりの うきすをかけて こほるいけみつ | 具通 |
| 513 | うすこほり なほとちやらて いけみつの かものうきねを したふなみかな | 義満 |
| 514 | おのつから こほりにもれて ゆくなみも すゑはおとせぬ やまかはのみつ | 承覚法親王 |
| 515 | たえたえに なほみなかみは なかれきて こほりにとまる やまかはのみつ | 成国(祝部) |
| 516 | おちたきつ くたくるなみは いはこえて ゆくせにこほる やまかはのみつ | 実遠(藤原季雄男) |
| 517 | さはたかは そてつくほとの なみもなし こほりにわたす まきのつきはし | 長秀 |
| 518 | あしろきに せかるるみつや こほるらむ おとこそよわれ うちのかはなみ | 尊円法親王 |
| 519 | あしろきに よせくるいろは ひとつにて とまらぬひをや うちのかはなみ | 惟明親王 |
| 520 | しくれつる よひのむらくも さえかへり ふけゆくかせに あられふるなり | 家隆 |
| 521 | あらしふく ならのひろはの ふゆかれに たまらぬたまは あられなりけり | 後二条院 |
| 522 | しはしこそ おともきこゆれ ならのはの ともにたまらす ちるあられかな | 尊道法親王 |
| 523 | かれはてて しものしたなる をきのはも くたくはかりに ふるあられかな | 実氏 |
| 524 | おとたてて ふれともいとと たまらぬや をささかうへの あられなるらむ | 頼元 |
| 525 | けふもはや かたののみのに たつとりの ゆくへもみえす かりくらしつつ | 義詮 |
| 526 | はしたかの とかへるやまの このしたに やとりとるまて かりくらしつつ | 貞世 |
| 527 | みかりする かたののゆきの ゆふくれに あまのかはかせ さむくふくらし | 実名(藤原公脩男) |
| 528 | みかりする かたののをのに ひはくれぬ くさのまくらを たれにからまし | 俊成(藤原俊忠男) |
| 529 | かりひとの くるれはかへる すすのおと あはせぬとりや くさかくるらむ | 資康 |
| 530 | みかりはの つかれのとりの おちくさは なかなかゆきの つもるにそしる | 寂真 |
| 531 | このさとは しくれてさむき ふゆのよの あくるたかねに ふれるしらゆき | 為兼 |
| 532 | みねにまつ よそのなかめは ふりぬれと にはこそゆきの はしめなりけれ | 後円融院 |
| 533 | ほのほのと あけゆくやまの たかねより よこくもかけて ふれるしらゆき | 亀山院 |
| 534 | さえあかす あらしのほとも けさみえて ゆきにわかるる みねのよこくも | 雅幸 |
| 535 | つきはなほ くもまにのこる かけなから ゆきにあけゆく をちのやまのは | 経賢 |
| 536 | あしひきの やまにしろきは わかやとに きのふのくれに ふりしゆきかも | 読人不知 |
| 537 | けさはまつ ともなふかたに さそはれて ひとをもまたす にはのしらゆき | 為理 |
| 538 | あらちやま みねのこからし さきたてて くものゆくてに おつるしらゆき | 定家 |
| 539 | やたののに うちいててみれは やまかせの あらちのみねは ゆきふりにけり | 為家 |
| 540 | けさはなほ またしもかれと みゆるまて はつゆきうすき あさちふのには | 国貴 |
| 541 | ひさかたの そらもまかひぬ くもかかる たかまのやまに ゆきのふれれは | 実定 |
| 542 | さらてたに かへさくるしき やまひとの つまきのうへに つもるしらゆき | 兼氏 |
| 543 | よしのやま おくよりつもる しらゆきの ふるさとちかく なりまさるかな | 国助 |
| 544 | みよしのの やまのかよひち たえしより ゆきふるさとは とふひともなし | 顕詮 |
| 545 | おくやまの まさきのかつら うつもれて ゆきにはいとと くるひともなし | 氏経 |
| 546 | たれかまた おなしやまちを たとるらむ こゆれはうつむ あとのしらゆき | 有長 |
| 547 | いつのまに ふりつもりぬる ゆきなれは かへるやまちに みちまよふらむ | 仲実 |
| 548 | ふりつもる うははのゆきの ゆふこりに こほりてかかる まつのしたつゆ | 行家(藤原知家男) |
| 549 | さののをか こえゆくひとの ころもてに さむきあさけの ゆきはふりつつ | 道家 |
| 550 | くさかれに のこるとみえし まかきさへ なほあともなく うつむゆきかな | 義満 |
| 551 | たちかへり きみそのこさむ あとたえし のへのみゆきの ふるきためしは | 尊道法親王 |
| 552 | こほるそと みしよりくまぬ いなみのの のなかのみつを うつむしらゆき | 義将 |
| 553 | とはてふる ひかすのみこそ つもりけれ けふもあとなき にはのしらゆき | 行済 |
| 554 | やまふかき すみかならすは にはのゆきに とはれぬまても あとやまたれむ | 浄弁 |
| 555 | やまひとの みちのたよりも おのつから おもひたえねと ゆきはふりつつ | 寂蓮 |
| 556 | あとをしむ わかならはしに いひなさむ さのみとはれぬ にはのしらゆき | 為子(贈従三位) |
| 557 | ふみわけて いてつるもとの あとをさへ またふりうつむ にはのしらゆき | 為世(御子左藤原為氏男) |
| 558 | あとつけし そのむかしこそ こひしけれ のとかにつもる ゆきをみるにも | 小侍従(太皇太后宮) |
| 559 | にはにこそ つもりそへけれ まつかえの こすゑのゆきを はらふあらしに | 邦省親王 |
| 560 | おきつかせ ふきこすいその いはねまつ なみこそかかれ ゆきはたまらす | 実重(三条公親男) |
| 561 | うつもれぬ けふりをやとの しるへにて ゆきにしほくむ さとのあまひと | 元可 |
| 562 | わたつうみの なみもひとつに さゆるひの ゆきそかさしの あはちしまやま | 為重 |
| 563 | みのうへに かからむことそ とほからぬ くろかみやまに ふれるしらゆき | 頼政 |
| 564 | くものほる ふしのやまかせ そらさえて けふりもみえす ゆきはふりつつ | 兼直 |
| 565 | さゆるひに なほたきまさる すみかまの けふりはゆきも うつまさりけり | 頼春 |
| 566 | すみかまの あたりのまつも うつもれて のこるけふりは ゆきよりそたつ | 善成 |
| 567 | すみかまの けふりのすゑも うちなひき ゆきふきおろす をののやまかせ | 義詮 |
| 568 | なけきのみ おほはらやまの すみかまに おもひたえせぬ みをいかにせむ | 読人不知 |
| 569 | いつまてか けふりもたてむ ふるさとに つまきたえぬる をののすみかま | 為子(贈従三位) |
| 570 | たかみにも つもれるとしの くれなれは さこそはゆきも ふかくなるらめ | 光俊(葉室光親男) |
| 571 | よしのかは なかれてすくる としなみに たちゐのかけも くれにけるかな | 匡房 |
| 572 | なにとなき よのひとことに まきれきて くれはててこそ としはをしけれ | 公雄 |
| 573 | はからさる やそちのほかの としのくれ つもるとたにも いまはおほえす | 信実 |
| 574 | あはれまた すゑのまつやま むそちにも ちかつくとしの こえむとすらむ | 道助法親王 |
| 575 | いまはみに こむといふなる おいらくの はるよりちかき としのくれかな | 良基(二条道平男) |
| 576 | すききつる いそちのゆめの ほとなさを さらにおとろく としのくれかな | 尊円法親王 |
| 577 | みにつもる かすこそかはれ たちかへり ことしもおなし はるはきにけり | 花園院 |
| 578 | はるしらて おほつかなきに うくひすの けふめつらしき こゑをきかはや | 選子内親王 |
| 579 | こほりとく かせのおとにや ふるすなる たにのうくひす はるをしるらむ | 経信 |
| 580 | いてそむる あさひかくれの たにかけに ねくらなからの うくひすのこゑ | 尊円法親王 |
| 581 | いりしより はるしらぬみも あるものを みやまないてそ たにのうくひす | 信専 |
| 582 | うちいつる なみのはなかと みゆるまて こほりのうへに あはゆきそふる | 道嗣 |
| 583 | ことうらの はるよりもなほ かすめるや やくしほかまの けふりなるらむ | 頼印 |
| 584 | しほかまの うらよりほかも かすめるを おなしけふりの たつかとそみる | 為冬 |
| 585 | わかなつむ わかあとはかり きえそめて よそにはみえぬ ゆきまなりけり | 定久 |
| 586 | しるしらす おなしのはらに うちむれて ひとつゆきまの わかなつむなり | 直氏 |
| 587 | ふみわけし きのふののへの ゆきまより けふもえいつる わかなをそつむ | 興雅 |
| 588 | けふもなほ わかなつまはや かすかのの きのふのゆきは いとときゆらむ | 為連 |
| 589 | はなにたに そはてよそなる うめかかを そてにうつして はるかせそふく | 国貴 |
| 590 | おほろなる なにはたつとも はるのつき やとるそてまて かすますもかな | 小督(瓊子内親王家) |
| 591 | いまさらに くもりなはてそ はるのつき はれぬはおいの なみたなりとも | 兼氏 |
| 592 | かすむとも このはるよりや よはのつき おいのこころも はれてみるへき | 為世(御子左藤原為氏男) |
| 593 | おいぬれは われからかすむ はるのよを つきやあらぬと なにかこつらむ | 定宗(藤原家親男) |
| 594 | おいぬるも もとのみそとは かこてとも なみたそはれぬ はるのよのつき | 定為 |
| 595 | おいかみの なみたのとかに なしはてて かすむもわかぬ はるのよのつき | 通定 |
| 596 | すみうさに しはしをくらの やとかへて みるにもかすむ はるのよのつき | 公雄 |
| 597 | やまのはも ともににほひて はるのつき かすみのそこに かけそいさよふ | 宣子(従一位) |
| 598 | なきてゆく こゑそきこゆる はるのかり わかれはおのか こころなれとも | 棟国 |
| 599 | わかかたに よるともなかぬ ちきりをも かへれはしたふ はるのかりかね | 雅能 |
| 600 | ふるさとの はなのさかりも すきぬへし かへらはいそけ はるのかりかね | 浄阿 |
| 601 | おのかすむ こしちのはなは またさかし いそかてかへれ はるのかりかね | 公朝 |
| 602 | なほふかく たつねもいらは やまさくら さかぬにまつや いへちわすれむ | 国量 |
| 603 | あらましの こころのうちに さきそめて ひとにしられぬ やまさくらかな | 道甚 |
| 604 | さきやらて またれしほとの ひかすより さかりすくなき やまさくらかな | 実性 |
| 605 | やまさくら おもふあまりに よにふれは はなこそひとの いのちなりけれ | 慈円 |
| 606 | みよしのも おなしうきよの やまなれは あたなるいろに はなそさきける | 宗尊親王 |
| 607 | やまさくら さきそふままに さほひめの かすみのそてに あまるしらくも | 邦省親王 |
| 608 | いてそむる つきはこすゑに みえなから なほくれはてぬ はなのかけかな | 経賢 |
| 609 | はつせやま はなのあたりは さやかにて よそよりくるる いりあひのかね | 詮政 |
| 610 | さきあまる をのへのはなや いこまやま へたつるくもを またへたつらむ | 寂真 |
| 611 | かたのなる なきさのさくら いくはるか たえてといひし あとにさくらむ | 定円(葉室光俊男) |
| 612 | やとかさぬ あまのかはらや うからまし かたのにはなの かけなかりせは | 国助 |
| 613 | さしこもる むくらのやとの はなにさへ なほおもひある はるかせそふく | 善成 |
| 614 | あふさかは せきのとさしも なかりけり ゆききのひとを はなにまかせて | 頼俊 |
| 615 | やまさとは はなゆゑにたに とはれねは ちりてもたれか こひしかるへき | 藤茂 |
| 616 | さきぬとて ひとにかたらは やまさくら みのかくれかも いまやとはれむ | 源全 |
| 617 | のとかにそ なかなかみつる やまさくら くれてかへらむ いへちならねは | 深守法親王 |
| 618 | はなにふる ひかすもしらす けふとてや ふるさとひとの われをまつらむ | 宮内卿(後鳥羽院) |
| 619 | としとしの はなになれても ふりはてぬ さのみやのちの はるをまつへき | 覚助法親王 |
| 620 | あたらよに こそはことしを しらさりし いのちつれなく はなをみるかな | 経継 |
| 621 | おもひいての なきみといはは はることに なれしやそちの はなやうらみむ | 祖月 |
| 622 | ななそちの はるにもあひぬ あたにちる はなやつれなく みをおもふらむ | 雅久 |
| 623 | やまかけの のきはのはなを たつねても あるしまてとふ ひとやなからむ | 広房(大江広茂男) |
| 624 | うらむなよ わかすむやまの さくらはな みやこのはるに かへるこころを | 信専 |
| 625 | はることに うらみもはてぬ こころとや をしむによらて はなのちるらむ | 超空 |
| 626 | みれはこそ ちるもをしけれ はることに はななきさとの かくれかもかな | 読人不知 |
| 627 | このもとに ちりしくたにも うきものを さそひなはてそ にはのはるかせ | 覚増法親王 |
| 628 | ちるままに にはにはあとも なかりけり こすゑやはなの ゆきまなるらむ | 道英 |
| 629 | ちるはなの なこりをにはに ふきとめて このもとにほへ はるのゆふかせ | 義則 |
| 630 | ちるはなの ゆきとつもらは たつねこし しをりをさへや またたとらまし | 頼隆 |
| 631 | ちるはなの いろなりけりな はるのひの ひかりにふれる みねのしらゆき | 国久 |
| 632 | たつねきて くもはまかはぬ このもとに いかてさくらの ゆきとちるらむ | 淳家 |
| 633 | まかひつる くもやあらしに はれぬらむ ちらてをのへの はなそすくなき | 基任 |
| 634 | みねにたつ くももわかれて よしのかは あらしにまさる はなのしらなみ | 頼貞 |
| 635 | わたるへき ものともみえす やまかはに かせのかけたる はなのうきはし | 通藤女 |
| 636 | やまさくら なかるるみつを せきとめて せせのうもれき はなさきにけり | 頼康 |
| 637 | やまおろしの さくらふきまく しかのうらに うきてたちそふ はなのささなみ | 為道 |
| 638 | ひらのやま たかねのあらし ふくなへに はなをよせくる しかのうらなみ | 藤経(源) |
| 639 | はるふかく なりゆくくさの あさみとり のはらのあめは ふりにけらしも | 素性 |
| 640 | かけうつす のさはのみつの そこみれは あかるもしつむ ゆふひはりかな | 忠光 |
| 641 | いほむすふ やまのすそのの ゆふひはり あかるもおつる こゑかとそきく | 慶運 |
| 642 | ききすなく いはたのすみれ さきしより をののしはくさ わけぬひはなし | 為秀 |
| 643 | きふねかは すゑせきいるる なはしろに かみのみしめを ひきやそへまし | 義将 |
| 644 | そてふれし むかしおほえて たちはなの こしまにかをる やまふきのはな | 良基(二条道平男) |
| 645 | よしのかは いはとかしはも いろかへて はなちりかかる きしのやまふき | 頼英 |
| 646 | やましろの ゐてのなかみち ふみわけて とはてはえこそ やまふきのはな | 重基(平) |
| 647 | ひかりなき たににもはるの いはつつし いかていりひの いろにさくらむ | 重之 |
| 648 | かすかやま まつにかけつつ いのりこし ふちのすゑはは いまそはなさく | 資宣 |
| 649 | はなちりし やまはあをはに さくふちの いろにものこる はるやみゆらむ | 実音 |
| 650 | こころなき はなこそねにも かへるとも とりさへなとか くもにいるらむ | 資名 |
| 651 | おのかねの のこるはかりや うくひすの なれにしはなの かたみなるらむ | 高秀 |
| 652 | ととまらぬ うらみもしらす はることに したひなれたる けふのくれかな | 宗遠 |
| 653 | あすしらぬ いのちのほとに わかれては いつあひみむと はるのゆくらむ | 具氏 |
| 654 | かすならぬ みにはよそなる はるなれと けふのわかれは なほやしたはむ | 雅有 |
| 655 | おほゐかは はるをととめぬ しからみに はなもきのふの せせのしらなみ | 桓輸 |
| 656 | おそさくら はるくれてさく はななれは のこるものから かたみともなし | 国夏 |
| 657 | なつやまの あをはにましり さくはなや はるにおくるる こすゑなるらむ | 師氏(平常顕男) |
| 658 | もろかつら いかにみあれの としをへて みやこをたにも かけはなれけむ | 為実(御子左藤原為氏男) |
| 659 | いつなれて うきみとしれは ほとときす われにはつねの つれなかるらむ | 賢俊 |
| 660 | いかはかり またるるものと ほとときす しりてつれなき はつねなるらむ | 承恵 |
| 661 | まちわふる やまほとときす ひとつてに きくはかりこそ はつねなりけれ | 信空 |
| 662 | ほとときす いつとさためぬ はつねこそ やかてまつひの たのみなりけれ | 昭覚 |
| 663 | ことしまた なかすときかは ほとときす みにつれなさも うらみさらまし | 承覚法親王 |
| 664 | こそききし ころそすきぬる ほとときす ことしはなほや つれなかるらむ | 源意(藤原源守男) |
| 665 | ささかにの くものはたての ほとときす くへきよひとや そらにまつらむ | 実重(三条公親男) |
| 666 | つれなさを しはしわすれて ほとときす またてやみまし ありあけのそら | 為世(御子左藤原為氏男) |
| 667 | まちかねて われそうらむる ほとときす なかなくこゑは ひとをわかしを | 聖尊法親王 |
| 668 | よしさらは たたつれなかれ ほとときす まつをうきみの なくさめにせむ | 隆淵 |
| 669 | ほとときす きかぬかきりは まとろまて まてはやなつの よはのみしかき | 為経(甘露寺藤原資経男) |
| 670 | おもふこと なきみなりせは ほとときす ききてののちは まとろみなまし | 小弁 |
| 671 | いくこゑも あたにそきかぬ ほとときす まつさとひとの かきりなけれは | 永行 |
| 672 | やまふかく たつねてきけは ほとときす すきつるかたの くもになくなり | 良兼 |
| 673 | ほとときす またさとなれぬ ほとなれや ききぬとかたる ひとのすくなき | 成広(祝部) |
| 674 | なきあかす ここちこそすれ ほとときす ひとこゑなれと みしかよのそら | 読人不知 |
| 675 | よひのまは しはしまたれて ほとときす ふくれはつきの かけになくなり | 宗秀(藤原宗泰男) |
| 676 | またれつる くもゐのうへの ほとときす ことしかひある はつねをそきく | 兼煕 |
| 677 | まつひとの ためならすとも ほとときす おのかおさつきに こゑなをしみそ | 基名 |
| 678 | くちねたた いはかきぬまの あやめくさ うきみこもりは ひくひともなし | 経氏 |
| 679 | ひくひとの なきにつけても あやめくさ うきにしつめる ねこそなかるれ | 兼直 |
| 680 | くもかかる ゆつきかたけの さみたれに あなしのかはは みつまさるらし | 実継 |
| 681 | なにはより みえしくもまの いこまやま いまはいつくそ さみたれのころ | 貞秀 |
| 682 | いたつらに ひかすふるなり あすかかは かはらぬふちや さみたれのころ | 親文 |
| 683 | すすかかは あらぬなかれも おちそひて やそせにあまる さみたれのころ | 遠村 |
| 684 | よしのかは みつのこころも いまさらに はやさしらるる さみたれのころ | 為冬 |
| 685 | みつまさる よとのわかこも すゑはかり もえしににたる さみたれのころ | 光正 |
| 686 | さみたれに なほみつふかき みなとたは いそくさなへも とりそかねぬる | 氏春 |
| 687 | さみたれに たのものさなへ みつこえて おりたちかたく みゆるころかな | 読人不知 |
| 688 | さなへとる たこのうらひと このころや もしほもくまぬ そてぬらすらむ | 教定(飛鳥井雅経男) |
| 689 | やまみつの あるにまかせて いくはくも つくらぬをたの さなへとるなり | 道嗣 |
| 690 | みつくきの をかへのをたの むらさめに つゆかきわけて さなへとるなり | 常顕 |
| 691 | ひかすのみ ふるのわさたの さみたれに ほさぬそてにも とるさなへかな | 義弘 |
| 692 | ふるさとの はなたちはなに むかしたれ そてのかなから うつしうゑけむ | 浄阿 |
| 693 | のちはみな しのふならひの たちはなに いまそへおかむ そてのかもかな | 為重 |
| 694 | たちはなの かけふむみちは あれにけり むかしのあとを たれにとはまし | 忠房親王 |
| 695 | たちなれし はなたちはなの うつりかも いまはのこらぬ すみそめのそて | 基時 |
| 696 | やかてはや かくろへぬるか なつのゆく をしかのつのの みしかよのつき | 聖統 |
| 697 | なつくさは ふかくそしける しみつくむ のなかもそこと みえぬはかりに | 為量 |
| 698 | あきちかき をののしのはら おくつゆの あまりてよそに とふほたるかな | 宗信 |
| 699 | やまのはの ほのめくよひの つきかけに ひかりもうすく とふほたるかな | 道元 |
| 700 | さとのなの つきのかつらに とふほたる くるるかたにや ひかりそふらむ | 読人不知 |
| 701 | よよへぬる あとをはのこせ わかみこそ あつめぬまとの ほたるなりとも | 時光 |
| 702 | やかてまた つつきのさとに かきくれて とほくもすきぬ ゆふたちのそら | 為世(御子左藤原為氏男) |
| 703 | うちもとも みえぬあふきの ほとなきに すすしきかせを いかてこめけむ | 頼基(大中臣輔道男) |
| 704 | ひさきおふる かけにやあきも かよふらし きよきかはらの なつのゆふかせ | 実名(藤原公脩男) |
| 705 | ゆふすすみ みねたちのほる ひさかたの つきはなつとも みえぬそらかな | 師信 |
| 706 | しつかなる こころはいまや むすふての いはまのみつそ みさへすすしき | 詮政 |
| 707 | まつかせの ふくおとなから やまみつの いはねをつたふ なみそすすしき | 秀幸 |
| 708 | いはまくら したゆくみつの すすしさを そてひつはかり せきやかけまし | 読人不知 |
| 709 | みそきかは はやせすすしく ゆくみつや やかてなつなき おとをたつらむ | 宰相(瑒子内親王家) |
| 710 | なこむてふ かみのしるしも みたらしの かはのせきよき なつはらへかも | 読人不知 |
| 711 | かそふれは なみたのつゆも ととまらす これやみそちの あきのはつかせ | 土御門院 |
| 712 | ひとはこそ おつともおちめ なみたさへ さそひなそへそ あきのはつかせ | 杲守 |
| 713 | ふきにけり わかたまくらの ちりならて たつなもしるき あきのはつかせ | 深守法親王 |
| 714 | つゆたにも またおきあへぬ あさあけに かせこそあきを つけのをまくら | 公兼 |
| 715 | ゆくみつの ふちせならねと あすかかせ きのふにかはる あきはきにけり | 頓阿 |
| 716 | ふけてなほ すすしくなりぬ ほしあひの かけみるみつに よやふけぬらむ | 為冬 |
| 717 | たなはたは おもひしらなむ あまのかは いそくわたりに ふねをかしつる | 国基 |
| 718 | ひとよをも ちきりになして たなはたの うときもなかと うらみやはする | 資衡 |
| 719 | たなはたの ちきりまつまの なみたより つゆはゆふへの ものとやはおく | 後二条院 |
| 720 | をさまれる たみのくさはを みせかほに なひくたのもの あきのはつかせ | 定家 |
| 721 | かせのおとも けさこそかはれ をきのはに あきをしらせて つゆやおくらむ | 景実 |
| 722 | ゆふへのみ みにしむものと おもひしを ねさめもかなし をきのうはかせ | 親賢女 |
| 723 | つゆをこそ はらひもはてめ うたたねの ゆめをもさそふ をきのうはかせ | 英時 |
| 724 | わけつつや ころもはすらむ あさつゆに ぬれていろそふ あきはきのはな | 氏元 |
| 725 | ゆふくれは くさはのほかの おきところ ありとやそてに かかるしらつゆ | 為道 |
| 726 | むかしいま おもふにものの かなしきは おいてよにふる あきのゆふくれ | 顕実母 |
| 727 | そてのうへの つゆをはつゆと はらひても なみたかすそふ あきのゆふくれ | 道応 |
| 728 | そのことと おもはてそての つゆけきや あきのゆふへの ならひなるらむ | 読人不知 |
| 729 | あきのたの かりほのまはき さきしより なほいほちかく しかそなくなる | 善成 |
| 730 | よもすから もるいほちかき しかのねは いなはのかせや さそひきぬらむ | 増瑜 |
| 731 | あきをへて わすれぬかりの たまつさを たれまちみよと かけてきぬらむ | 邦省親王 |
| 732 | あまのとの きりはれそめて ほのほのと あけゆくそらを わたるかりかね | 直義 |
| 733 | あきかせの ふくにまちかく きこゆるは こゑにおくれて かりやきぬらむ | 国量 |
| 734 | みなとたの いなはにかせの たちしより かりなきわたる あきのうらなみ | 素観 |
| 735 | くもをなす わさたのほなみ ふきたてて むらさめなから わたるあきかせ | 実継 |
| 736 | ゆふされは のたのいなはの ほなみより をはなをかけて あきかせそふく | 為道 |
| 737 | まつにのみ おとはひひきて すみよしの きしたのほなみ あきかせそふく | 公勝 |
| 738 | あきのよの なかきおもひは おいかみの ねさめよりこそ まつしられけれ | 雄舜 |
| 739 | しはしなほ いさよふくもを さきたてて あとよりいつる やまのはのつき | 読人不知 |
| 740 | かつらきや よるともみえす はれにけり くものよそなる あきのつきかけ | 為量 |
| 741 | まちいつる つきのあたりの うきくもに よきよとはらふ まつかせそふく | 為遠 |
| 742 | つきもなほ このはかくれの をくらやま あきまつほとと なにおもひけむ | 良憲 |
| 743 | こけのそて ほしえぬつゆに やとりきて つきさへかけの やつれぬるかな | 実兼 |
| 744 | つきかけも つゆのやとりや たつぬらむ くさにはてなき むさしののはら | 長綱(菅原茂長男) |
| 745 | かはかみに さとあれのこる みなせやま みしものとては つきそすむらむ | 基家 |
| 746 | おほゐかは せせにいくよか みなれさを くたすいかたの とこのつきかけ | 為藤 |
| 747 | よふねこく かいのしつくや しけからし ぬるるたもとに やとるつきかけ | 昌家 |
| 748 | あしのやは すむあまやなき つきかけに こきいててみる なたのともふね | 国実(津守) |
| 749 | わすれすよ たひをかさねて しほきつむ あこきかうらに なれしつきかけ | 崇金 |
| 750 | いつまてか よにありあけと おもふにも かたふくつきを あはれとそみる | 成仲 |
| 751 | とりのねは ふもとのさとに おとつれて みねよりにしに のこるつきかけ | 雅朝 |
| 752 | いるかたの やまのはちかき つきかけを みにたくへても あはれとそみる | 有房(六条通有男) |
| 753 | なくなみた われとつゆけき むしのねの あきのくさはを なにかこつらむ | 弁内侍 |
| 754 | まつむしの なくともたれか きてとはむ ふかきよもきの もとのすみかを | 宣子(従一位) |
| 755 | やたののの あさちいろつく ほとをたに またてかれゆく むしのこゑかな | 高秀 |
| 756 | うらかるる のちはなかなか おくつゆも あさちかにはの まつむしのこゑ | 成忠 |
| 757 | あさちはら すゑはかれゆく はつしもの したにものこる むしのこゑかな | 頼之 |
| 758 | ふしみやま かとたのきりは よをこめて まくらにちかき しきのはねかき | 光厳院 |
| 759 | はつせやま をのへのきりの へたてにも あけゆくかねは なほきこえつつ | 秀長(菅原長綱男) |
| 760 | よをのこす ねさめのともと なりにけり おいのまくらに ころもうつこゑ | 寛尊法親王 |
| 761 | たれかなほ ねやへもいらて もとゆひの しものよさむに ころもうつらむ | 為冬 |
| 762 | つきかけに おきそふしもの よやさむき ふくるにつけて うつころもかな | 実音 |
| 763 | つゆのまと なにかおもはむ ぬれてほす やまちのきくの ちよのゆくすゑ | 実忠 |
| 764 | ものおもふ たかなみたにか そめつらむ いろこそかはれ ころもてのもり | 大弐(安嘉門院) |
| 765 | はれくもり しくるるやまの もみちはに いそくちしほの ほとそみえける | 嗣定 |
| 766 | しくれせぬ かたこそあらめ ははそはら そめてもうすき いろにみゆらむ | 読人不知 |
| 767 | こころとや いろにいつらむ あめつゆも もらぬいはやの つたのもみちは | 良宋 |
| 768 | あすまての しくれもしらす あきのいろを そめつくしぬる みねのもみちは | 頼隆 |
| 769 | なかつきの ありあけのつきの ほとはかり しくれはふゆを いそかすもかな | 朝村 |
| 770 | けふといへは なにそはつゆの かたみたに おきもととめす かへるあきかな | 実直母 |
| 771 | うきにこそ なみたはおつれ かみなつき そのこととなく ふるしくれかな | 光俊(葉室光親男) |
| 772 | あきのそら いかになかめし なこりとて けさもしくれの そてぬらすらむ | 宗尊親王 |
| 773 | ふりそむる おとよりふゆは しらるるを いくたひつくる しくれなるらむ | 経氏 |
| 774 | ふゆをこそ しくれもつくれ さためなき よはいつよりか はしめなりけむ | 元可 |
| 775 | すくるかと おもへはなほも めくりきて おなしねさめに ふるしくれかな | 道洪 |
| 776 | けさはまた そらもくもらて かみなつき このははかりそ まつしくれける | 懐通 |
| 777 | あれはつる のきはこのはに うつもれて なかなかもらぬ しくれをそきく | 行朝 |
| 778 | ふらぬよも ふるよもまかふ しくれかな このはののちの みねのまつかせ | 実朝 |
| 779 | くれたけの みとりはときも かはらねは しくれふりにし まかきともなし | 土御門院 |
| 780 | さとまては ふきもおくらぬ やまかせに しくれてとまる みねのうきくも | 経深 |
| 781 | やまかはの みつしまさらは みなかみに つもるこのはは おとしはつらむ | 人麿 |
| 782 | みなのかは なかれてせせに つもるこそ みねよりおつる このはなりけれ | 良基(二条道平男) |
| 783 | もみちせし つたもまさきも ちりはてて はふきあまたに やまかせそふく | 栄宝 |
| 784 | あきにみし いろもにほひも それなから しもにのこれる にはのしらきく | 宋親 |
| 785 | おくしもに のこれるにはの しらきくも あきなきときの かたみとそみる | 直頼 |
| 786 | あさひさす まやののきはの しもとけて しくれぬそらに おつるたまみつ | 道嗣 |
| 787 | かせさむき いりえのあしの ゆふしもに かれてもさやく おとそのこれる | 満親 |
| 788 | なにはかた いりえのあしの かれしより うらふくかせの おとそすくなき | 成豊 |
| 789 | つきまつと たちやすらへは しろたへの ころものそてに おけるはつしも | 秀能(藤原秀宗男) |
| 790 | しくるとは みゆるものから このはのみ ふれははれゆく ふゆのよのつき | 読人不知 |
| 791 | たつたやま もみちやまれに なりぬらむ かはなみしろき ふゆのよのつき | 土御門院 |
| 792 | たまのゐの こほりのうへに みぬひとや つきをはあきの ものといひけむ | 式子内親王 |
| 793 | よもすから やまおろしふきて ころもての たなかみかはに こほるつきかけ | 是法 |
| 794 | さゆるひは こほりとちそふ やまかはの したゆくみつも のこりやはする | 円守 |
| 795 | なつたにも ころをわすれし まつかけの いはゐのみつは さそこほるらむ | 澄覚法親王 |
| 796 | きくたにも あやふきふちの うすこほり のそむににたる よをわたるかな | 和義 |
| 797 | うきねする うらわのなみの まくらより あとよりかよふ ともちとりかな | 長尊 |
| 798 | さすしほに みきはやかはる さよちとり なきつるこゑの ちかくきこゆる | 読人不知 |
| 799 | とほさかる あしはやをふね あととめて またしまつたふ ともちとりかな | 道嗣 |
| 800 | なるみかた ゆふなみちとり たちかへり ともよひつきの はまになくなり | 厳阿 |
| 801 | いにしへの あとあるわかの うらちとり たちかへりても なをやのこさむ | 匡遠 |
| 802 | わかのうらに かよひけりとも はまちとり こころのあとを いつかしられむ | 親賢女 |
| 803 | しるへせよ わかのうらちの ともちとり いつひとかすの なをもかけまし | 為永 |
| 804 | さゆるよは さそふみつたに たえぬとや つららのとこに をしのなくらむ | 瑒子内親王 |
| 805 | しもにたに うはけはさゆる あしかもの たまものとこに つららゐにけり | 隆房 |
| 806 | おほゐかは ゐせきのなみに たつかもの かへりてあとに またくたりつつ | 実遠(藤原季雄男) |
| 807 | あしかもの むれゐるかたの いけみつや こほりもはてぬ みきはなるらむ | 和氏 |
| 808 | いけみつの こほるみきはの あしかもは ふけてやこゑの とほさかるらむ | 信快 |
| 809 | ひをならぬ なみもかへりて あしろきに こよひはこほる うちのかはかせ | 道嗣 |
| 810 | ささたけの おほみやひとの そてのうへに かさしのたまと ふるあられかな | 円昭 |
| 811 | あらしこす とやまのみねの ときはきに ゆきけしくれて かかるむらくも | 為家 |
| 812 | はつせやま みねのひはらも うつもれて ゆきのしたなる いりあひのかね | 通元 |
| 813 | ふりうつむ みねのよこくも よをこめて ゆきよりしらむ ありあけのそら | 有光 |
| 814 | ふしのねは ふゆこそたかく なりぬらめ わかぬみゆきに ときをかさねて | 為家 |
| 815 | くもよりも うへにみえたる ふしのねの ゆきはなにとて ふりはしめけむ | 昭祐 |
| 816 | うつもるる かせやしたより はらふらむ つもれはおつる まつのしらゆき | 源秀 |
| 817 | やまおろしに まつのうははは あらはれて こかけよりまつ つもるしらゆき | 時光 |
| 818 | きにもあらす くさにもあらて さくはなや たけのさえたに ふれるしらゆき | 親文 |
| 819 | このままに ふらはとみつる しらゆきの おもふほとこそ つもらさりけれ | 経顕(藤原定資男) |
| 820 | あとたえて とはれぬにはは ゆきもさそ ふりてかひなき やととしるらむ | 定宣(賀茂) |
| 821 | いにしへに いまもならひて しらゆきの ふるきあとをは われそつけつる | 尊氏 |
| 822 | いにしへに いまたちかへる みちそとも とはれてしりぬ にはのしらゆき | 為定(御子左二条為道男) |
| 823 | あつまやの まやのいまやと まつひとも あまりにふれは とはぬゆきかな | 良基(二条道平男) |
| 824 | よよをふる にはのをしへの あとはかり のこしてつもれ やとのしらゆき | 宣明 |
| 825 | いかにして あとをもつけむ をしへおく ことはあまたの にはのしらゆき | 実時(藤原公清男) |
| 826 | あつめこし しるしもあれや わかやまの すきふのまとに のこるしらゆき | 能運 |
| 827 | ときしあれは いまはたあひに あふさかの せきのしらゆき みよにふりつつ | 良基(二条道平男) |
| 828 | にはのおもは わかかよひちに ふみわけて とはれぬゆきの あともみえつつ | 為敦 |
| 829 | ゆきてみぬ こころのほとを おもひやれ みやこのうちの こしのしらやま | 周防内侍 |
| 830 | きてもみよ せきもりすゑぬ みちなれは おほうちやまに つもるしらゆき | 上総(堀河院中宮) |
| 831 | やまふかみ ゆきにとちたる しはのとの たたそのままに ふるひかすかな | 少将(陽徳門院) |
| 832 | はしたかの こゐのしたくさ かれしより かくれかねてや ききすなくらむ | 性威 |
| 833 | くれぬるか つかれにかかる はしたかの くさとるあとも みえぬはかりに | 則祐 |
| 834 | あらたかを やかてとりかふ かりひとや くれぬにかへる やまちなるらむ | 盛家 |
| 835 | かせさむみ あかつきふかく ねさめして またおきむかふ ねやのうつみひ | 兼能 |
| 836 | すみかまも としのさむきに あらはれぬ けふりやまつの つまきなるらむ | 兼好 |
| 837 | ふりうつむ ゆきのうへにも すみかまの けふりはなほそ たちてみえける | 読人不知 |
| 838 | みこそかく ふりぬるものを としくれて つもるをゆきと なにおもひけむ | 行広 |
| 839 | いたつらに すくるつきひの はやせかは はやくもよする おいのなみかな | 信良 |
| 840 | うきみまて まつとはいはぬ はるなから こころにいそく としのくれかな | 実直母 |
| 841 | みなひとの いそくこころに さそはれて すくるもはやく くるるとしかな | 道嗣 |
| 842 | つくつくと あかしくらして としつきを つひにはいかか かそへなすへき | 花山院 |
| 843 | すききつる つきひのほとは おとろかて いまさらなけく としのくれかな | 義詮 |
| 844 | ゆきかへる ものとしるしる あやしくも わかれといへは をしまるるかな | 敦忠 |
| 845 | ゆくひとに そふるこころの あやしくも しるへなきこと まとはるるかな | 中務 |
| 846 | もろともに をしむわかれの からころも かたみはかりそ まつそほちける | 兼輔 |
| 847 | ゆくひとの おもひやすつる とまるみは それそわかれの しつこころなき | 兼澄 |
| 848 | たつねみよ わかのうらちの ともちとり たちはなれゆく あとはいかにと | 高範 |
| 849 | したひえぬ なこりにそへて おもふかな かへらむほとの こころつくしを | 読人不知 |
| 850 | さらぬよの ならひをつらき かきりにて いのちのうちは わかれすもかな | 宗尊親王 |
| 851 | いまよりは たたゆくすゑの まつかせを よそのこととや おもひなしてむ | 斎宮女御 |
| 852 | なにことも かたらひてこそ すくしつれ いかにせよとて ひとのゆくらむ | 花山院 |
| 853 | きみかゆく ところときけは つきみつつ をはすてやまそ こひしかるへき | 貫之 |
| 854 | しのへとや そらゆくつきに ちきらまし たかしたふへき わかれならねと | 春日(昭訓門院)→公宗母 |
| 855 | ゆくひとの こころとめすは あしからの せきもるかみも かひやなからむ | 行朝 |
| 856 | とまるへき みちにもあらぬ わかれちは したふこころや せきとなるらむ | 仲実 |
| 857 | たまきはる こころもしらす わかれぬる ひとをまつへき みこそおいぬれ | 師時 |
| 858 | いのちあらは めくりあふへき わかれそと なくさめなから ぬるるそてかな | 実清 |
| 859 | いのちありて わかるるみちは おのつから またあふすゑを たのむはかりそ | 読人不知 |
| 860 | しるしらす ゆくもかへるも あふさかの せきのしみつに かけはみゆらし | 順徳院 |
| 861 | わすれすは ゐせきのみつに かけをみよ おもふこころは それにこそすめ | 為道 |
| 862 | あさきりに よとのわたりを ゆくふねの しらぬわかれも そてはぬれけり | 土御門院 |
| 863 | いにしへも いまもあらはや わかことく おもひつきせぬ わかれするひと | 長能 |
| 864 | たのむへき わかみなりせは いくたひか かへりこむひを きみにとはまし | 行宗 |
| 865 | ととまるも すきゆくみをも すみよしの まつのよはひと いのらさらめや | 経信 |
| 866 | しひてなほ おもひたつかな たひころも ゆきてはかへる みちとはかりに | 為藤 |
| 867 | ふるさとを たちしひかすは つもれとも なほすゑとほき たひころもかな | 経通(一条内通男) |
| 868 | やすらひに わかふるさとを いてしより やかてひかすの つもるたひかな | 為定(御子左二条為道男) |
| 869 | みやこいてて けふこえそむる あふさかの せきやたひねの はしめなるらむ | 政村 |
| 870 | こえてゆく すきのしたみち あけやらて とりのねくらき あふさかのせき | 冬平 |
| 871 | とりのねに せきをはこえて あふさかの やまちよりこそ あけそめにけれ | 道嗣 |
| 872 | こまなへて うちてのはまを みわたせは あさひにさわく しかのうらなみ | 後鳥羽院 |
| 873 | あさまたき わかうちこゆる たつたやま ふかくもみゆる まつのいろかな | 人麿 |
| 874 | ひともこえ こまもとまらぬ あふさかの せきはしみつの もるななりけり | 小式部内侍 |
| 875 | ゆふけふり とふへきさとの しるへたに またはるかなる むさしののはら | 経朝 |
| 876 | くももなほ したにたちける かけはしの はるかにたかき きそのやまみち | 頼貞 |
| 877 | さとまては またはるかなる うつのやま ゆふゐるくもに やとやとはまし | 堯尋 |
| 878 | あけはまた ひとりやゆかむ よもすから つきにともなふ うつのやまこえ | 政宗 |
| 879 | おのつから あふひとあらは ことつてよ うつのやまへを こえわかるとも | 式子内親王 |
| 880 | あしひきの やまわけころも さのみやは くもよりくもに ひかすかさねむ | 実夏 |
| 881 | つゆはらふ たもともいとと ほしわひぬ やまわけころも ひかすかさねて | 後光厳院 |
| 882 | ゆくすゑを いそくにつけて たひころも ふるさととほく なほへたてつつ | 為盛 |
| 883 | ゆきつるる ともとなるより たひころも たちよるやとに ひともつきつつ | 資教 |
| 884 | ゆきくるる つゆわけころも ほしやらて さなからむすふ くさまくらかな | 通陽門院 |
| 885 | みやこおもふ なみたのうへに たひころも のやまのつゆを かさねてそしく | 基世女 |
| 886 | みやこおもふ くさのまくらの ゆめをたに たのむかたなく やまかせそふく | 兼好 |
| 887 | これよりも ふかきあらしに ききなれて こよひはねぬる さやのなかやま | 行意 |
| 888 | つゆはらふ くさのまくらに ききわひぬ こよひかりねの とこのやまかせ | 顕詮 |
| 889 | あらしふく のはらのくさの つゆなから むすふかりねの ゆめそはかなき | 澄基 |
| 890 | くさまくら たひはいかなる ちきりにて なれぬひとをも ともとまつらむ | 読人不知 |
| 891 | ゆきくれて けふもやととふ たひころも きつつかりねの かすやかさねむ | 公宗(西園寺実衡男) |
| 892 | くれはまた いつくにやとを かりのなく みねにわかるる そてのあきかせ | 通光 |
| 893 | くれぬとて やまちわかるる ころもてに ともなひすつる みねのあきかせ | 為実(御子左藤原為氏男) |
| 894 | ゆくすゑの やとをやかねて さためけむ くれていそかぬ けふのたひひと | 詮直 |
| 895 | わかためは むすひもおかぬ いほさきの すみたかはらに やとやからまし | 尚長(祝部) |
| 896 | たつのねの きこゆるたゐに いほりして われたひなりと いもにつけこせ | 読人不知 |
| 897 | はかなしや いつこをつひの すみかとて これをはたひと おもひなすらむ | 範兼 |
| 898 | おもひねと しりてもせめて なくさむは みやこにかよふ ゆめちなりけり | 公敏 |
| 899 | かりねする をかのかやねの かやむしろ かたしきあかす たひのつゆけさ | 実氏 |
| 900 | いそけたた あかつきおきの たひころも たちてやまちは つゆふかくとも | 為重 |
| 901 | かはきりも たひのそらとや おもふらむ またよふかくも たちにけるかな | 兼澄 |
| 902 | みるらむと おもひおこせて ふるさとの こよひのつきを たれなかむらむ | 和泉式部 |
| 903 | みやこをは はなをみすてて いてしかと つきにそこゆる しらかはのせき | 義満 |
| 904 | ゆめにたに あふよまれなる みやこひと ねられぬつきに とほさかりぬる | 良経(九条兼実男) |
| 905 | かりねとふ つきをひとよの ちきりにて たまくらうとき ゐなのささはら | 定顕(叡山横川宝蔵坊) |
| 906 | ささまくら ゐなののよはに かりねして ふるさととほき つきをみるかな | 道成 |
| 907 | やまのはに かたふくかたを みやことて こころにおくる ありあけのつき | 宗宣(北条宣時男) |
| 908 | くさまくら かりねのつゆに われをおきて ともなふつきも あけかたのそら | 光厳院 |
| 909 | あけぬるか いまはたちなむ たひころも そてにきえゆく のへのつきかけ | 雅有 |
| 910 | つきをみて とまりはせしと こきゆけは しらぬなみちに よそあけにける | 信実 |
| 911 | ありあけの かけをしるへに さそはれて よふかくいつる すまのうらふね | 崇賢門院 |
| 912 | うらなみの たよりにかせや なりぬらむ ゆらのみなとを わたるふなひと | 為氏 |
| 913 | かきりなく おもひしよりも わたのはら こきいててとほき すゑのしらなみ | 読人不知 |
| 914 | うらかせの みなとによわる あけかたも しほにまかせて ふなてをそする | 頼春 |
| 915 | あはちかた せとのおひかせ ふきそひて やかてなるとに かかるふなひと | 読人不知 |
| 916 | かちまくら いくよなれてか なみのおとに おとろくほとの ゆめをたにみむ | 秀春 |
| 917 | かせさむき いそやのまくら ゆめさめて よそなるなみに ぬるるそてかな | 十仏 |
| 918 | ゆめなから むすひすてつる くさまくら いくよになりぬ のへのかりふし | 清宣 |
| 919 | あつまちは ふるさとなから むさしのの とほきにすゑを なほやまよはむ | 尊氏 |
| 920 | くさまくら あまたたひねを かそへても またむさしのは すゑそのこれる | 頼康 |
| 921 | むさしのも さすかはてある ひかすにや ふしのねならぬ やまもみゆらむ | 宗久 |
| 922 | ふしのねを ふりさけみれは しらゆきの をはなにつつく むさしののはら | 長秀 |
| 923 | あらちやま こゆへきみちも ゆきくれぬ やたののくさに まくらむすはむ | 経嗣 |
| 924 | いつくにか こよひはさねむ いなみのの あさちかうへも ゆきふりにけり | 為定(御子左二条為道男) |
| 925 | ふるさとの ひとしるらめや かくはかり たひねつゆけき をののしのはら | 読人不知 |
| 926 | ははそはら したはをりしき やましろの いはたのをのに わひつつそぬる | 隆信 |
| 927 | いかにして いかにうちいてむ いははまた なへてのことに なりぬへきかな | 道信 |
| 928 | ゆくすゑは なほいかならむ おもひいる いまたにやかて まよふこころは | 義満 |
| 929 | ふみそむる ほとはくるしき こひちそと まよふをしひて おもひいるかな | 道嗣 |
| 930 | なみたかは いかにせくへき なかれとも ならはぬものを そてのしからみ | 公雄 |
| 931 | みちのくの そてのわたりの なみたかは こころのうちに なかれてそすむ | 相摸 |
| 932 | おもひつつ ほとふるままに なみたかは いととふかくも なりまさるかな | 読人不知 |
| 933 | ものおもふ みなかみよりや なみたかは そてになかるる ものとなりけむ | 業子(従二位) |
| 934 | せきわひぬ もらしやせまし なみたかは ひとめつつみも こころなりけり | 為定(御子左二条為道男) |
| 935 | なみたかは そてのなかなる みをなれは せせをはやしと しるひともなし | 為重 |
| 936 | したむせふ いはかきふちの くさかくれ あさしとたにも しるひとそなき | 尊道法親王 |
| 937 | おもふとも たれかはしらむ はつをはな またほにいてぬ したのこころを | 宋縁 |
| 938 | しられしな こほりをかつく にほとりの そこにくたくる こころありとは | 良基(二条道平男) |
| 939 | うきにはふ あしまのみくり したにのみ たえすくるしき ものをこそおもへ | 通藤女 |
| 940 | そてもしれ まくらももらせ こひしさを せきととむへき なみたならねは | 四条(安嘉門院) |
| 941 | よしさらは よるはなみたに まかせなむ まくらならては たれかしるへき | 義久二女 |
| 942 | もらさしと おもふはたれか なみたにて つつむたもとの ひまもとむらむ | 唯円 |
| 943 | なみたかは はてはうきなや なかさまし せくかひもなき そてのしからみ | 直氏 |
| 944 | いかにせむ ほとなきそての しからみに つつみなれても あまるなみたを | 頼兼 |
| 945 | そてまても またもらさねは よなよなの つきたにしらぬ なみたなりけり | 為冬 |
| 946 | あまのかは ひかりととめす ゆくつきの はやくもひとに こひやわたらむ | 資季 |
| 947 | つきかけに みをやかへまし あはれてふ ひとのこころを いりてみるへく | 村上天皇 |
| 948 | ふけてこそ おもひたゆとも みかつきの よひのまはかり みるかけもかな | 為重 |
| 949 | やまのはの はつかのつきの はつはつに みしはかりにや かくはこひしき | 読人不知 |
| 950 | かよひちの なきにつけても しのふやま つらきこころの おくはみえける | 為定(御子左二条為道男) |
| 951 | こころこそ たえぬおもひに みたるとも いろにないてそ しのふもちすり | 藤経(藤原) |
| 952 | なとりかは おとになたてそ みちのくの しのふかはらは つゆあまるとも | 深守法親王 |
| 953 | うらわかみ をきのしたはに おくつゆを さもほのめかす かせのおとかな | 惟成 |
| 954 | わかこひは またふるすなる うくひすの なきてもひとに しらせかねつつ | 兼氏 |
| 955 | ほたるより もゆといひても たのまれす ひかりにみゆる おもひならねは | 為道 |
| 956 | ひとしれぬ なみたのいろは かひもなし みせはやとたに おもひよらねは | 少将(藻壁門院) |
| 957 | ひとしれぬ おもひするかの くににこそ みをこからしの もりはありけれ | 読人不知 |
| 958 | かたいとの あたのたまのを よりかけて あはてのもりに つゆきえねとや | 定家 |
| 959 | こひしなむ いのちをたにも をしまぬに たかためつつむ こころなるらむ | 光吉 |
| 960 | ひとめをも つつまぬはかり こひしきは おほろけならぬ こころとをしれ | 教長 |
| 961 | たえすたつ けふりよりこそ ふしのねの ならぬおもひも みにしくれけれ | 為定(御子左二条為道男) |
| 962 | おもふとも しらしなよそに あまのたく もしほのけふり したにこかれて | 信慶 |
| 963 | ゆふけふり さしもくるしき したもえの たつなとならは なほやこかれむ | 深守法親王 |
| 964 | わかかたに なひくともみは ゆふけふり せめてうきなは よそにたつとも | 為量 |
| 965 | ともにさて うきなやたたむ あつまなる かすみのうらの けふりならねと | 経重(藤原経顕男) |
| 966 | なほさりに おさふるかたも ありけりと もらはなみたを ひとやかこたむ | 後円融院 |
| 967 | つくはやま しつくにたえぬ たにみつの いかなるひまに もらしそめまし | 家隆 |
| 968 | よそにちる たまとなみえそ せくそての たきつこころは わきかへるとも | 長康 |
| 969 | もれぬへき そてのなみたに しらせはや とへとしらたま いはぬならひを | 為定(御子左二条為道男) |
| 970 | こひしさの ためしもいかか いはつつし そめてなみたは いろにみゆとも | 義満 |
| 971 | おもふとも いはすなりぬる ときよりも まさるかたにて たのまるるかな | 朝光 |
| 972 | いはねとも こころのほとを みえぬれは いつれをまさる かたとたのまむ | 読人不知 |
| 973 | よしさらは いひたにはなて とにかくに あしまのいけの さはるちきりを | 為明 |
| 974 | きえねたた あまのすくもひ したもえの けふりやそれと ひともこそとへ | 為家 |
| 975 | きえはてむ むなしけふりの すゑまても なひくかたとは ひとにしられし | 基運 |
| 976 | ひとしれす またこりすまに やくしほの けふりはしたに なほむせひつつ | 行藤(祝部) |
| 977 | わたつうみの そこともしらぬ あまなれは もしほのけふり たたはたつねむ | 為信 |
| 978 | みるめなき しほのみたるる あまなれは そてのうらにそ たつねてもみむ | 読人不知 |
| 979 | あまのかる いそのたまもの したみたれ しらせそむへき なみのまもかな | 為兼 |
| 980 | きのふより けふはいろそふ そめかはに たつなもしらす こひやわたらむ | 資康 |
| 981 | いかにして そらにたちける うきなそと やとりしそての つきにとははや | 深守法親王 |
| 982 | なひくとも みぬめのうらの ゆふけふり かくてうきなを なほやたつらむ | 義種 |
| 983 | いかなれは をののあきつに ゐるくもの なひきもあへす うきなたつらむ | 道喜 |
| 984 | つひにはや おさふるそても くちはてぬ なにになみたを いまはつつまむ | 義詮 |
| 985 | くちはてむ のちをはなにに なけきけむ いまよりそてに あまるなみたを | 道嗣 |
| 986 | みにあまる おもひやなほも しられまし なみたはそてに つつみきぬれと | 義宝 |
| 987 | なほさりに おもひしほとや つつみけむ うらみにあまる そてのなみたを | 梵灯 |
| 988 | みにあまる おもひのけふり つひにはや よそにうきなの たちにけるかな | 義詮 |
| 989 | いかにせむ あしのしのひの ゆふけふり なきなはかりは はやたちにけり | 善源 |
| 990 | いかかせむ うたのやけのに ふすとりの よそにかくれぬ こひのつかれを | 元可 |
| 991 | あふことに たへぬこころを くらふれは せめてはをしき なをやもらさむ | 兼能 |
| 992 | こひしなは あふにかへたる いのちかと なきなをさへや あとにのこさむ | 通藤女 |
| 993 | あふよはの かすになさはや そてのうへに おちてよとなき たきのしらたま | 親雅 |
| 994 | ころもてよ さのみなぬれそ ふちしろの みさかをこゆる こひのみちかは | 後円融院 |
| 995 | おほゐかは おろすいかたの いかなれは なかれてつひに こひしかるらむ | 読人不知 |
| 996 | こひしねと するかのうみの はまつつら くるよもなみの そてぬらすらむ | 桓瑜 |
| 997 | あふことは なほかたをかの まくすはら うらみもはてす ぬるるそてかな | 兼治 |
| 998 | もかみかは いなとこたへて いなふねの しはしはかりは こころをもみむ | 下野(後鳥羽院) |
| 999 | もかみかは のほりもやらぬ いなふねの あふせすくへき ほとそひさしき | 道因 |
| 1000 | せをはやみ たえすなかるる みつよりも つきせぬものは なみたなりけり | 読人不知 |
| 1001 | ふかきえに なかれもやらぬ みたれあしの うきふしなから さてやくちなむ | 覚助法親王 |
| 1002 | あしねはふ ほりえのはしの たえすなほ したにみたれて こひわたるかな | 良基(二条道平男) |
| 1003 | うらかせの むかふしほせに ゆくふねの たゆむときなく みはこかれつつ | 寂真 |
| 1004 | いかなれは わかみのかたに おくあみの ことうらにのみ こころひくらむ | 経継 |
| 1005 | あつさゆみ いそまのうらに ひくあみの めにかけなから あはぬこひかな | 定家 |
| 1006 | つれつれの はるひにまよふ かけろふの かけみしよりそ ひとはこひしき | 読人不知 |
| 1007 | あきかせに おとはすれとも はなすすき ほのかにたにも みえぬきみかな | 躬恒 |
| 1008 | おもかけも またみぬなかに ふくかせの たよりはかりを なにたのむらむ | 義満 |
| 1009 | くれなゐの こそめのころも そめかけて いまたかるより いろつかむかも | 聖武天皇 |
| 1010 | さよころも かへすかひなき おもひねの ゆめにもひとを うらみつるかな | 後嵯峨院 |
| 1011 | うたたねに はかなくひとを ゆめにみて うつつにさへも おつるなみたか | 読人不知 |
| 1012 | まちわひて しはしまとろむ うたたねの ゆめにもみせよ ひとのおもかけ | 善算 |
| 1013 | わひぬれは みてもかひなき おもひねに いまはたおなし ゆめそまたるる | 行直 |
| 1014 | たのまれぬ ゆめもまことの あるよそと あひみていつか ひとにかたらむ | 行氏(平胤行男) |
| 1015 | こひしさに おもひみたれて ねぬるよの ふかきゆめちを うつつともかな | 素性 |
| 1016 | いととなほ なけかむためか あふとみて ひとなきとこの ゆめのなこりは | 後二条院 |
| 1017 | ひとりねは いかにふすゐの とこなれは ゆめちもやすく かよはさるらむ | 尊氏 |
| 1018 | よひよひに ゆきかへるさへ はかなきは うちぬるほとの ゆめのかよひち | 業子(従二位) |
| 1019 | わかこひは たたおもひねの ゆめなれは みるとはすれと あふことのなき | 久明親王 |
| 1020 | はかなしや わかおもひねの こころより かよふたたちの ゆめのちきりは | 善為 |
| 1021 | をくるまの しちのはしかき いかてなほ ぬるよのかすを そへてまつへき | 弘賢 |
| 1022 | よをかさね うきふしみえて ささのはに おくはつしもと いかてきえなむ | 尊氏 |
| 1023 | いくたひも かきこそやらめ みつくきの をかのかやはら なひくはかりに | 尊円法親王 |
| 1024 | こころたに かよははなとか にほとりの あしまをわくる みちもなからむ | 後光厳院 |
| 1025 | みつとりを よそにみしかと こひすれは われもなみたに うきねをそなく | 読人不知 |
| 1026 | つれなくて こぬよかすかく なみたかは よとむあふせは いかかたのまむ | 実算 |
| 1027 | しひてよも いふにもよらし みこもかる しなののまゆみ ひかぬこころは | 為定(御子左二条為道男) |
| 1028 | くもるとも よしやなみたの ますかかみ わかおもかけは みてもかひなし | 宗顕 |
| 1029 | しるらめや まやのほのほの あくるまて あまそそきして たちぬれしとは | 大弐三位 |
| 1030 | しられしな ひとのこころの うきくもは わかそてはれぬ しくれなりとも | 尊氏 |
| 1031 | あかてこし そらのしつくは あきのよの つきさへくもる ものにそありける | 公任 |
| 1032 | みにしらぬ あふさかやまの さねかつら せきをはこえて くるひともなし | 頼言(源) |
| 1033 | かひなしや せきのこなたに としをへて つひにこゆへき みちをしらねは | 真覚 |
| 1034 | うつつとも ゆめともみえぬ ほとはかり かよははゆるせ したひものせき | 能宣 |
| 1035 | うきなかの せきはよひよひ もりそへて ひとめよくまの ゆめもかよはす | 光俊(葉室光親男) |
| 1036 | せきもりの うちぬるよひの かよひちは ゆるさぬなかと いはぬはかりそ | 寂真 |
| 1037 | とほからぬ ふしみのさとの せきもりは こはたのみねに きみそすゑける | 家隆 |
| 1038 | こえかぬる ならひもつらし あふさかの やましもなとか せきちなるらむ | 兼氏 |
| 1039 | なきになす みをはよそにや おもふらむ こころよりまた もののかなしき | 基氏(足利尊氏男) |
| 1040 | いきてこそ おもふもうけれ しぬはかり つらきやひとの なさけなるらむ | 寿暁 |
| 1041 | おなしよの つらきかきりを みぬほとの いのちそこひの たのみなりける | 季雄 |
| 1042 | あふまての ちきりもよしや いまはたた うきにまけぬる いのちともかな | 為兼 |
| 1043 | のちのよの ちきりのほとも しらぬみに こひしぬはかり なにしたふらむ | 遠村 |
| 1044 | のちのよと われたにみをは おもはねは たのみおくへき ひともなきかな | 蓮生法師 |
| 1045 | かきりとも いはてはいかか こひしなむ たかをしむへき うきみならねと | 頓阿 |
| 1046 | はかなくそ のちのよしらて いけるみの つらきはかりを おもひわひける | 基任 |
| 1047 | いけるみの ためとおもひし あふことも いまはいのちに かへつへきかな | 政村 |
| 1048 | いけるみの ためこそうけれ それをたに かこつかたとて こひやしなまし | 信実 |
| 1049 | こひしなぬ ほととてみにそ いそかるる ひとはいのちも かけぬちきりに | 秀雅 |
| 1050 | おもひかね またやしたはむ のちまては うらみはつへき こころならねは | 道勝 |
| 1051 | さのみよも のちのよまては つらからし いのちそひとの わかれなるへき | 雅成親王 |
| 1052 | こひしなぬ みのためつらき いのちとも さてなからふる ちきりにそしる | 棟義 |
| 1053 | さりともと たのむこころの みになくは うきにつけてや おもひよわらむ | 為藤 |
| 1054 | わすれしと おもふにそへて こひしきは こころにかなふ こころなりけり | 範永 |
| 1055 | こころをは ならはしものと いふなれと かたときのまも わすれやはする | 元真 |
| 1056 | いかかせむ あふにかへむと おもふみの そをたにまたぬ いのちなりせは | 守時女 |
| 1057 | いのちにも かへなてひとの つれなきは なからへてなほ ものおもへとや | 尊宣 |
| 1058 | かひなしや うきつれなさも なからへて ありときかれむ いのちはかりは | 成光(祝部成国男) |
| 1059 | よそにたに みぬめのうらの わすれかひ かひなくひろふ そてはぬれつつ | 頼康 |
| 1060 | ちりはなほ こぬよもはらふ とこのうへに つもるままなる なかのとしつき | 国量 |
| 1061 | あふことも しらぬよになほ なからへて わかためうきは いのちなりけり | 実俊(西園寺公宗男) |
| 1062 | としつきの つらさにたへて なからふる わかつれなさそ かこつかたなき | 実教 |
| 1063 | うらみても こひてもへぬる つきひかな しのふはかりを なくさめにして | 実泰 |
| 1064 | つれなしな あふたのみなき としつきを かくてもすくす いのちなかさは | 覚助法親王 |
| 1065 | こひわひぬ いかにまちみむ みわのやま すきたつかとは とふひともなし | 長秀 |
| 1066 | つれなさを いのるとたにも ゆふたすき かけてやひとに まつしらせまし | 経教 |
| 1067 | いのりこし いくとしなみの みたらしに うけぬみそきは いふかひもなし | 後円融院 |
| 1068 | ちはやふる かみのしるしと たのむかな おもひもかけぬ けふのあふひを | 定頼 |
| 1069 | たのむとや いのれはかみも おもふらむ うきつれなさに まけぬこころを | 為重 |
| 1070 | ひとかたに たのみそせまし いつはりに ならはぬさきの ちきりなりせは | 公忠(藤原実忠男) |
| 1071 | いつはりと おもひなせとも ことのはや しはしものこる いのちなるらむ | 清春 |
| 1072 | いつはりと おもふちきりを せめてみの なくさむかたに たのむはかなさ | 経教 |
| 1073 | さらはまた たのみてやみむ いつはりを かこつによらぬ なかのちきりを | 周清 |
| 1074 | さりともと なほこそたのめ いつはりに おもひなすへき ちきりならねは | 寛宗 |
| 1075 | そのままに いかてたのまむ いつはりも まことににたる ひとのことのは | 和氏 |
| 1076 | いさやまた かはるもしらす いまこそは ひとのこころを みてもならはめ | 和泉式部 |
| 1077 | いつはりの あるよにならふ なかならは わかかねことも いかかのこさむ | 為重 |
| 1078 | かねてより ひとのこころも しらぬよに ちきれはとても いかかたのまむ | 為冬 |
| 1079 | うちとけぬ ひとのこころの したひもに しひてちきりを なにむすふらむ | 能賢 |
| 1080 | いつはりの ことのはしけき たまつさに ひきかへしても うらみつるかな | 素暹 |
| 1081 | ちきりしを まこととまては おもはねと またたのむへき ことのはそなき | 栄海 |
| 1082 | ゆくすゑを まちみむまての いのちこそ ちきりにそへて うたかはれけれ | 浄弁 |
| 1083 | いつまての いのちとしりて かはらしと ゆくすゑまてを ちきりおくらむ | 隆覚 |
| 1084 | わすれしと いひしはかりの ちきりこそ ゆくすゑとほき たのみなりけれ | 為世(御子左藤原為氏男) |
| 1085 | おもひかね さてもやしはし なくさむと たたなほさりに たのめやはせぬ | 顕房 |
| 1086 | いつはりに またやなりぬと おもふより まつにつけても ぬるるそてかな | 義詮 |
| 1087 | いつはりの あるよをしらぬ みになして さはるやかこつ ことのはにせむ | 後光厳院 |
| 1088 | まことそと おもひさためぬ ゆふくれの なほさりならす なとまたるらむ | 基嗣 |
| 1089 | さりともと こころひとつに たのめとも いひしままなる ゆふくれもなし | 為兼 |
| 1090 | たのめしも わすれむとおもふ けふのひを くるとなつけそ いりあひのかね | 花園院 |
| 1091 | ちきりしも たのむとまては なきなかに なにとまたるる ゆふへなるらむ | 実継 |
| 1092 | いつはりの あるよもしらす まてとのみ いひしよことの たのまるるかな | 頼春 |
| 1093 | いつはりは まつとはかりの ちきりにて こころにたのむ ゆふくれそなき | 為藤 |
| 1094 | うきはみに なれぬるのちも いつはりを たのむやまくる こころなるらむ | 業子(従二位) |
| 1095 | いつはりに ならふうきみは なかなかに ちきらぬくれや たのみなるらむ | 冬時 |
| 1096 | いつはりを たのむたにこそ はかなきを ちきらぬくれの なとまたるらむ | 覚為 |
| 1097 | いつはりと おもひなからも ちきりしや ゆふくれことの たのみなるらむ | 和義 |
| 1098 | さりともと おもふこころや よわるらむ いまはまたれぬ ゆふくれのそら | 英時 |
| 1099 | さのみよも こぬいつはりは かさねしと こころにまたぬ ゆふくれそなき | 長衡 |
| 1100 | とりのねの あかつきよりも つらかりき おとせぬひとの ゆふくれのそら | 順徳院 |
| 1101 | いかにせむ さはらはあすの たのみたに しらぬちきりの よひのむらさめ | 宣子(従一位) |
| 1102 | ささかにの くものふるまひ かねてより しるしもみえは なほやたのまむ | 後光厳院 |
| 1103 | かねてうき こころつくしと なりにけり たのみをかくる ささかにのいと | 為遠 |
| 1104 | いたつらに まつはくるしき いつはりを かねてよりしる ゆふくれもかな | 氏頼 |
| 1105 | ふけぬとも しはしうらみし なほさりに たのめしひとの ちきりならねは | 行冬 |
| 1106 | ふくるまて なほまたれしは いつはりに ならはぬさきの こころなりけり | 成光(祝部成国男) |
| 1107 | いつはりの かすそふなかは ちきりても たのみならはぬ ゆふくれのそら | 宗仲 |
| 1108 | ひとりねの よはをもいかて あかさまし とはれぬくれは おもひたゆとも | 国夏 |
| 1109 | かへるさの よそのうらみを まちあかす みのたくひとは いかかおもはむ | 暁勝 |
| 1110 | まつひとの こぬよのかすに くらふれは まくらのちりも つもらさりけり | 俊顕 |
| 1111 | うつつにて こぬうさよりは あふとみる ゆめはいくよも まつへかりけり | 国貴 |
| 1112 | いつはりの つらさにかへて なかむれは つきそこぬよの かすはしるらむ | 俊定(藤原経俊男) |
| 1113 | ともすれは くもまかくれに またれつつ そらたのめする よはのつきかな | 公能 |
| 1114 | ひとをまつ かとはくらくそ なりにける たのめしつきの うちにみえねは | 監命婦 |
| 1115 | みよかしな はつかあまりの つきたにも いままてひとに またれやはする | 頼政 |
| 1116 | あはさりし つらさをかこつ ことのはに いまたにぬるる にひまくらかな | 氏清 |
| 1117 | なみたのみ かたしくそての にひまくら いくとせぬれて こよひほすらむ | 宗遠 |
| 1118 | あふよたに なほほしやらぬ わかそてや うらみなれにし なみたなるらむ | 義弘 |
| 1119 | おのつから あふよはかはる こころかな なみたやこひの ひまをしるらむ | 浄弁 |
| 1120 | こひちには まよふとはかり おもひしに こえけるものを あふさかのせき | 道嗣 |
| 1121 | こひしなは かひなからまし なからへて あふをかきりも いのちなりけり | 為定(御子左二条為道男) |
| 1122 | あふよこそ おもひしりぬれ われなから したひきにける こころなかさは | 実時(藤原公清男) |
| 1123 | そのままに やかていのちも たえぬへし けにみにかふる あふせなりせは | 師賢(藤原師信男) |
| 1124 | ならはねは みにこそゆめと たとるとも これはうつつと いふひともかな | 能誉 |
| 1125 | こよひかく かはしそめつる たまくらに いまはなみたの かからすもかな | 長舜 |
| 1126 | ゆめちより まよひそめぬと わひつるに しるへありとは いまそしりぬる | 醍醐天皇 |
| 1127 | おもひいつる くもまのつきの おもかけは またいつまての わすれかたみそ | 為冬 |
| 1128 | うたてなと うきみしらるる わかれちを いそかぬさきに したはさりけむ | 為重 |
| 1129 | よをこめて いそくわかれの うきなかに たのめぬすゑを なにちきるらむ | 義満 |
| 1130 | わかこころ なくさめとてや わかれちに かはらしとのみ ちきりおくらむ | 為尹 |
| 1131 | とりのねは なけともいまた よふかきに なとうきひとの いそくなるらむ | 尊氏 |
| 1132 | せめてたた ききもつくさは わかれちの やこゑのとりを さのみうらみし | 詮信 |
| 1133 | よしさらは またともいはし わかれちの つらさにたへむ いのちならねは | 公清 |
| 1134 | つらきなの たくひまてやは かこつへき わかれしそての ありあけのつき | 後円融院 |
| 1135 | うきままに さのみかこたし きぬきぬの かたみはのちも ありあけのつき | 資教 |
| 1136 | かたみそと いはぬはかりの わかれちに のこるもつらき ありあけのつき | 頼元 |
| 1137 | わするなよ またあふまての ちきりとも しらぬかたみの ありあけのつき | 為氏 |
| 1138 | いまよりや つらきかたみと なりもせむ わかきぬきぬの そてのつきかけ | 基時 |
| 1139 | あかつきの わかれはいつも からころも ぬれてそかへる そてのうらなみ | 知家 |
| 1140 | しぬはかり ひとはわかれを おもはてや またあふことを ちきりおくらむ | 基成 |
| 1141 | われのみや ほさてしのはむ きぬきぬの そてにのこさぬ ひとのなみたを | 崇賢門院 |
| 1142 | みちしはの つゆときえなは きぬきぬの わかれやなかき わかれならまし | 成豊 |
| 1143 | あくるたに をしまぬものを くれはとは こころのほかの そらたのめかな | 宮内卿(後鳥羽院) |
| 1144 | ほともなく かへるあしたの からころも こころまとひに いかかきつらむ | 元良親王 |
| 1145 | くるるまを まつへきみとも たのまれす かへりしみちの こころまとひに | 道家 |
| 1146 | つらかりし きみかこころは わすられて あけぬるそらの うらめしきかな | 読人不知 |
| 1147 | ひとりねも ならはぬみには あらねとも いもかかへれる とこのさひしさ | 二条院 |
| 1148 | あかなくに おきつるたにも あるものを ゆくへもしらぬ みちしはのつゆ | 俊成(藤原俊忠男) |
| 1149 | ゆふくれは たのむこころに なくさめつ かへるあしたは けぬへきものを | 侍従(本院) |
| 1150 | あふまてを かきりとおもひし なみたこそ かへるけささへ さきたちにけれ | 季広 |
| 1151 | かへるさの けさのわかれを すくしてそ いのちありとも みをたのむへき | 家隆 |
| 1152 | しはしなほ またれぬゆめそ さめやらぬ うつつともなき けさのわかれに | 為敦 |
| 1153 | わかれつる みにはこころの あらはこそ ゆめうつつとも ひとにかたらめ | 定為 |
| 1154 | くもるさへ うれしとみえし おほそらの くるるもつらく いつなりにけむ | 公経(藤原実宗男) |
| 1155 | ことのはも かきたえぬれは つらかりし そらたのめさへ こひしかりけり | 読人不知 |
| 1156 | いつはりと おもははなほも いかならむ たのむにたにも かはるちきりを | 為冬 |
| 1157 | ちきりしも たのまぬものを いまさらに かはるこころの いかてみゆらむ | 為定(御子左二条為道男) |
| 1158 | あふまてを かきるいのちと おもひしは ゆくすゑしらぬ こころなりけり | 経顕(藤原定資男) |
| 1159 | くるひとも あらしいまはの やまかつら あかつきかけて なにとまつらむ | 読人不知 |
| 1160 | たのましな ことうらかせに ゆくふねの かたほはかりに かかるちきりは | 国助 |
| 1161 | よるかたと たのむもよその なかなれや ことうらふねの すゑのしほかせ | 読人不知 |
| 1162 | ことうらに こころをかけし かたほより あとまてしらぬ なかのはやふね | 後円融院 |
| 1163 | なかからぬ うきねとみれは あやめくさ われそものおもふ みとはなりぬる | 読人不知 |
| 1164 | ことしおひの たけのひとよも へたつれは おほつかなくも なりまさるかな | 朝忠 |
| 1165 | たのめこし あさちかすゑに あきくれて いまはのつゆを そてにかけつつ | 後円融院 |
| 1166 | あらしふく とやまのもみち ふゆくれは いまはことのは たえはてぬらむ | 読人不知 |
| 1167 | をちこちの みねのあらしに こととはむ いつれのかたか いろはかはると | 公任 |
| 1168 | いまこむと ちきりしなみも はやこえぬ うきいつはりの すゑのまつやま | 通陽門院 |
| 1169 | こえぬなり すゑのまつやま すゑつひに かねておもひし ひとのあたなみ | 国助 |
| 1170 | あふことは とほやまとりの おのつから かけみしなかも へたてはてつつ | 崇賢門院 |
| 1171 | はてはまた ゆくへもしらぬ むらとりの たつなはかりを なになけきけむ | 定顕(叡山横川宝蔵坊) |
| 1172 | みかりのの つかれになつむ はしたかの こゐにもさらに かへりぬるかな | 重家 |
| 1173 | つらかりし とりのねはかり かたみにて わかあふさかは へたてはててき | 宗秀(大江時秀男) |
| 1174 | なかなかに こえてそまよふ あふさかの せきのあなたや こひちなるらむ | 丹後(宜秋門院) |
| 1175 | たちかへり こゆへきものと おもひきや たえにしなかの あふさかのせき | 宗実 |
| 1176 | かよふとも ひとはしらてや よひよひに こころのせきの さはりはつらむ | 頼之 |
| 1177 | せきもりの うちぬるほとと まちしよも いまはへたつる なかのかよひち | 為敦 |
| 1178 | いまははや とをちのいけの みくりなは くるよもしらぬ ひとにこひつつ | 為家 |
| 1179 | をやまたの ひたのかけなは たえしより おとろかすへき たよりたになし | 秀胤 |
| 1180 | いまははや よそにみつのの こもまくら かりねののちは ゆめたにもなし | 行詮 |
| 1181 | おもかけを わすれもやらぬ こころこそ ひとののこさぬ かたみなりけれ | 頼秀 |
| 1182 | ふりにける なからのはしの あとよりも なほたえぬへき こひのみちかな | 隆親(藤原隆衡男) |
| 1183 | かたいとの をたえのはしや わかなかに かけしはかりの ちきりなるらむ | 長秀 |
| 1184 | さもこそは あさきちきりの すゑならめ やかてせたえし なかかはのみつ | 貞秀 |
| 1185 | いかにせむ うきなかかはの あさきせに むすふとすれは たゆるちきりを | 為忠(御子左二条為藤男) |
| 1186 | なかかはの あさきちきりの すゑかけて なほもあふせを たのむはかなさ | 読人不知 |
| 1187 | おもひいつや あらいそなみの うつせかひ われてもあひし むかしかたりは | 家良 |
| 1188 | わかなかは みをうちはしと ふりしより いさよふなみを かけてこひつつ | 国量 |
| 1189 | よそにのみ なるみのうみの おきつなみ たちかへりても したふころかな | 宗祐 |
| 1190 | ひとめもる やましたくくる みつくきの かきたえぬるか おとつれもせぬ | 読人不知 |
| 1191 | みくさのみ しけるいたゐの わすれみつ くまねはひとの かけをたにみす | 雅経 |
| 1192 | おもひいてよ のなかのみつの くさかくれ もとすむほとの かけはみすとも | 為重 |
| 1193 | むすひおく もとのちきりの おもかけも みえぬのなかの みつからそうき | 宗明 |
| 1194 | かきやりし やまゐのしみつ さらにまた たえてののちの かけをこひつつ | 為家 |
| 1195 | しきたへの まくらにかかる なみたかな いかなるゆめの なこりなるらむ | 義詮 |
| 1196 | すまのあまの しほたれころも くちぬまや まとほなからも かさねきつらむ | 尊道法親王 |
| 1197 | かれはつる ひとのちきりは あさちふに なほまつむしの ねこそなかるれ | 基氏(足利尊氏男) |
| 1198 | しらきくの うつろひはつる ちきりゆゑ ぬれてほすまも なきたもとかな | 宗覚 |
| 1199 | さてもなほ えやはいふへき したくさの あとなきしもに おもひきえなむ | 通具 |
| 1200 | ふくかせに みねこえてゆく うきくもの いかにあとなき ちきりなるらむ | 義詮 |
| 1201 | ことのはの かかるかたなく なりぬれは いつはりさへそ いまはこひしき | 高倉(安嘉門院) |
| 1202 | とほさかる ひとのこころに まかせなは みしおもかけも みをやはなれむ | 基嗣 |
| 1203 | つひにさて さはりはてぬる ひとめこそ つらきかことの ちきりなりけれ | 仲光 |
| 1204 | むかしとも おもひなされぬ おもかけに おなしよつらき みのちきりかな | 行親 |
| 1205 | おもかけの のこるかたみも かひそなき みしよのゆめの ちきりならねは | 実蔵 |
| 1206 | おのつから おもひいてても とはれぬは おなしよになき みとやしるらむ | 春日(昭訓門院)→公宗母 |
| 1207 | いまはたた おもひたえねと つきひさへ へたつるなかを なにしたふらむ | 行広女 |
| 1208 | しはしこそ ひとめおもひし よひよひの しのふかたより たえやはつへき | 後二条院 |
| 1209 | おなしよに なにしたふらむ ありあけの おもかけはかり さらぬわかれを | 近衛(今出河院) |
| 1210 | めくりあふ つきこそひとの かたみとも なみたくもらて みるよはそなき | 氏経 |
| 1211 | よしさらは なみたいとはて そてのつき くもるをたにも かたみとやみむ | 周清 |
| 1212 | いまはまた ありしそのよの おもかけも つらきかたみに つきそのこれる | 冬通 |
| 1213 | わすれては みしよのかけそ しのはるる うきならはしの ありあけのつき | 頼遠 |
| 1214 | そのままに やかてわかれの かたみとも しらてそみつる ありあけのつき | 親長 |
| 1215 | わすらるる みをこそつきに かこちつれ ひとをうらみぬ こころよわさに | 後二条院 |
| 1216 | あたひとの かたみかほなる かけもうし みしよにかはる ありあけのつき | 隆教 |
| 1217 | まつとせし ならひはかりの ゆふくれに おもかけのこる やまのはのつき | 公経(藤原実宗男) |
| 1218 | おもかけは のこるともなき ますかかみ くもるなみたも よしやいとはし | 資康 |
| 1219 | つらしとも たれをかこたむ ますかかみ くもるもひとの なみたならねは | 守遍 |
| 1220 | ひとはいさ かかみにみゆる かけをたに うつるかたみに たのみやはする | 為家 |
| 1221 | いつよりか かかみにみゆる かけをさへ むかふなみたに へたてはてけむ | 良基(二条道平男) |
| 1222 | つきひのみ うつるにつけて ますかかみ みしおもかけは とほさかりつつ | 読人不知 |
| 1223 | ますかかみ なにおもかけの のこるらむ つらきこころは うつりはてにき | 為氏 |
| 1224 | わすれなむ ときしのへとそ うつせみの むなしきからを そてにととむる | 素性 |
| 1225 | わすられて いけるへしとも しらさりし いのちそひとの つらさなりける | 光俊(葉室光親男) |
| 1226 | わすれなは こしちのゆきの あとたえて きゆるためしに なりぬはかりそ | 馬内侍 |
| 1227 | いまはたた ひとをわするる こころこそ きみにならひて しらまほしけれ | 読人不知 |
| 1228 | こころより かはるちきりの すゑなれは おとろかしても かひやなからむ | 後円融院 |
| 1229 | ともすれは ありしならひに たちかへり なほもとのみと たのむはかなさ | 万秋門院 |
| 1230 | はかなくや ひとはゆるさぬ おもかけを わすらるるみに そへてのこさむ | 頼之 |
| 1231 | かきたえて のこるうきみそ たまつさの ふりぬるよりも おきところなき | 良基(二条道平男) |
| 1232 | かたみとて ひとはのこさぬ みにしあれは いまはあたなる たのみたになし | 定為 |
| 1233 | こころにも いまはのこらぬ ちきりとや いとひしほとの おもかけもなき | 後円融院 |
| 1234 | わすれすと いふにつけてそ なかなかに とはぬひかすの つもるとはしる | 読人不知 |
| 1235 | わすれくさ おふときくより すみよしの きしはよそなる なかのかよひち | 義将 |
| 1236 | つみにゆく みちたにしらす わすれくさ きしなるたねや ひとにまかせむ | 資康 |
| 1237 | わすれてし ひとはのきはの くさのはに かけてもまたす くものふるまひ | 覚誉法親王 |
| 1238 | いろかはる こころのあきの くすかつら うらみをかけて つゆそこほるる | 伏見院 |
| 1239 | ともすれは なひくさやまの くすかつら うらみよとのみ あきかせそふく | 匡房 |
| 1240 | ちきりおきし つゆをかことの くすかつら くるもおそしと なほやしたはむ | 頼資(源宗久男) |
| 1241 | かくはかり たえけるものを くすかつら くるよをかけて なにうらみけむ | 貞秀 |
| 1242 | みのうきに おもひかへせは まくすはら たたうらみよと あきかせそふく | 実兼 |
| 1243 | しられしな かたやまかけの まくすはら うらむるかせは みにさむくとも | 教嗣 |
| 1244 | あきかせの たよりならては まくすはら うらむとたにも いかてしらせむ | 成景 |
| 1245 | まくすはら つゆのなさけも ととまらす うらみしなかは あきかせそふく | 忠兼(藤原忠行男) |
| 1246 | みをあきの すゑののはらの しもかれに なほふきやまぬ くすのうらかせ | 経宣 |
| 1247 | ことのはの かれにしのちは まくすはら うらむるほとの なくさめもなし | 示空 |
| 1248 | あまのすむ さとのけふりの しるへたに われにはよその うらかせそふく | 長綱(菅原茂長男) |
| 1249 | あまのすむ さとのけふりは たえにしを つらきしるへの なにのこるらむ | 頓阿 |
| 1250 | すまのあまの しほやきころも うらみわひ なほもまとほに ぬるるそてかな | 俊長 |
| 1251 | うらみのみ ふかきなにはの みをつくし しるしやいつら よるふねもなし | 為明 |
| 1252 | あらいそに よりくるなみの さのみやは こころくたけて みをもうらみむ | 為氏 |
| 1253 | わかみをそ かこつかたとは うらみつる ひとのつらさの いふにかなはて | 為氏 |
| 1254 | つもりゆく うらみもかひそ なかりける つきひにそへて つらきちきりに | 秀長(藤原秀弘男) |
| 1255 | みのほとの うきはよそまて しらるとも うらみとまらは かひやなからむ | 為重 |
| 1256 | たれもみな うきをはいとふ ことわりを しらすはこそは ひとをうらみめ | 有家(藤原重家男) |
| 1257 | はてはまた みをうきものと かこつこそ せめてうらみの あまりなりけれ | 冬通 |
| 1258 | ことわりも おもひしらはと たのむかな うらみをのちの あらましにして | 国久 |
| 1259 | みをうさを おもひしらすは いかになほ こころのままに うらみはてまし | 尊円法親王 |
| 1260 | つらしとも こころのままに いひてまし うらみはつへき なかとおもはは | 為藤 |
| 1261 | つくるなる はしとしるしる うらむれは おもひなからを いふにそありける | 宇多天皇 |
| 1262 | ひとすちに おもひしらぬに なしやする いはぬうらみも おなしつらさを | 花園院 |
| 1263 | いまはよも いふにもよらし なほさりの つらさをなとか うらみさりけむ | 善成 |
| 1264 | みのうさを なけくもなほや たちかへり ひとをうらむる こころなるらむ | 通顕 |
| 1265 | つらしとて ひとをうらみむ ことわりの なきにうきみの ほとそしらるる | 伏見院 |
| 1266 | やくもたつ いつもやへかき かきつけて むかしかたりを みるそかしこき | 後嵯峨院 |
| 1267 | つゆもわか しらぬことはの たまなれと ひろふやよよの かすにのこらむ | 後円融院 |
| 1268 | ひかりさす くものうへのみ こひしくて かけはなるへき ここちたにせす | 円融院 |
| 1269 | こころをは にしのやまへに ととめおかむ めくりあふへき つきひありやと | 道覚法親王 |
| 1270 | なからへて うきよのはては みわのやま すきのすきにし かたそこひしき | 藤子(従三位) |
| 1271 | いかにせむ わかたつそまの すきのかと すきこしおいの しるしなきみを | 増運 |
| 1272 | かさしをる あとしもみえぬ こすゑかな ひはらかさなる みわのしけやま | 国夏 |
| 1273 | やそちまて なからのやまに なからへて ひとこそしらね よをいのるとは | 俊憲 |
| 1274 | ふるさとに まちかけれはや あしかきの よしののやまと なにしおふらむ | 国量 |
| 1275 | うらちより うちこえくれは たかしやま みねまておなし まつかせそふく | 国冬 |
| 1276 | ふしみやま すそのをかけて みわたせは はるかにくたる うちのしはふね | 内侍(永福門院) |
| 1277 | あさきりに いそのなみわけ ゆくふねは おきにいてぬも とほさかりつつ | 良基(二条道平男) |
| 1278 | あさゆふに みれはこそあれ すみよしの うらよりをちの あはちしまやま | 国冬 |
| 1279 | わたのはら やへのしほちを みわたせは うきたるくもに つつくしらなみ | 公相 |
| 1280 | ゆふしほの ひくかたとほく みわたせは くもにかけたる あまのうけなは | 後円融院 |
| 1281 | わかのうらの まつにたえせぬ かせのおとに こゑうちそふる たつそなくなる | 義満 |
| 1282 | おきつなみ よするひひきを のこしても うらになるをの まつかせそふく | 為重 |
| 1283 | しほかせの あらいそかけて おきつなみ なほよせかくる おとのひまなさ | 為冬 |
| 1284 | しほかせに あらいそなみの いくかへり くたけてもまた いはにかくらむ | 為継 |
| 1285 | しほみては それともみえす みをつくし まつこそうらの しるしなりけれ | 義春 |
| 1286 | わたりきて みはやすくとも うきはしの あやふきみちを いかかわすれむ | 尊氏 |
| 1287 | こけふかき たにのかけはし としふりて あるかひもなき よをわたるかな | 定伊 |
| 1288 | なからへは とつなのはしに ひくつなの くるしきよをも なほやわたらむ | 遠村 |
| 1289 | なけかしよ くめのいははし とてもよを わたりはつへき わかみならねは | 読人不知 |
| 1290 | あさきせは たたもゆくへき さはたかは まきのつきはし なにわたすらむ | 国冬 |
| 1291 | あふさかの ゆふつけとりや いそくらむ またせきもりも あけぬとさしを | 頼之 |
| 1292 | ひとかたに なきぬときけは さとことに やかてかすそふ とりのこゑかな | 義詮 |
| 1293 | ねさめにも さすかおとろく あかつきを おもひしらすと とりやなくらむ | 実衡女 |
| 1294 | いまもなほ つかへていそく あかつきを しらてやとりの おとろかすらむ | 時光 |
| 1295 | とりのねに いそきなれても としはへぬ いまはのとけき あかつきもかな | 良基(二条道平男) |
| 1296 | やまさとは あけゆくとりの こゑもなし まくらのみねに くもそわかるる | 光厳院 |
| 1297 | なかきよの おいのねさめは なかなかに かねよりのちそ しはしまとろむ | 尊道法親王 |
| 1298 | ききなるる のてらのかねの こゑのみそ あかつきことの ともとなりける | 実時(藤原公清男) |
| 1299 | おいかみの ねさめののちや あかつきの ゆふつけとりも やこゑなくらむ | 浄阿 |
| 1300 | かすかすに おもひつつくる むかしこそ なかきねさめに なほのこりけれ | 頼仲 |
| 1301 | よをふかく のこすねさめの まくらとて またきえやらぬ まとのともしひ | 頼春 |
| 1302 | そむくとて くもにはのらぬ ものなれと よのうきことそ よそになるてふ | 業平 |
| 1303 | ひとはみな こえぬるあとの くらゐやま おくれてたにも のほりかねつつ | 定宗(藤原家親男) |
| 1304 | くらゐやま あるにまかする みちなれと いまひとさかそ さすかくるしき | 為定(御子左二条為道男) |
| 1305 | のほるへき ほとはのほりぬ くらゐやま これよりうへの みちそゆかしき | 政村 |
| 1306 | そまやまの たにのうもれき としふれと みちあるかたに ひくひともなし | 為氏 |
| 1307 | くちのこる なたにきこえよ うもれきの はなさくまては しらぬみなれは | 常顕 |
| 1308 | うかりける みきはのまこも いつまてか こえゆくなみの したにしをれむ | 敦有 |
| 1309 | よのなかは くるしきものか うきぬなは うきをもしたに おもひみたれて | 為道 |
| 1310 | うきくさの うきたるよには さそふみつ ありともいかか みをはまかせむ | 媋子内親王 |
| 1311 | そてぬらす ひともやあると もしほくさ かたみのうらに かきそあつむる | 信実 |
| 1312 | もしほくさ さすかかきおく あとなれや やそちをこゆる わかのうらなみ | 寛尊法親王 |
| 1313 | ひとなみの かすにとのみや わかのうらの いりえのもくつ かきあつめまし | 義将 |
| 1314 | みかくなる たまときくにも わかのうらの もくつはいとと よるかたもなし | 読人不知 |
| 1315 | およふへき たよりもあらは まつかえに なをたにかけよ わかのうらなみ | 読人不知 |
| 1316 | しつみにき いまさらわかの うらなみに よらはやよせむ あまのすてふね | 長明 |
| 1317 | さてもいつ たれかはひかむ わかのうらに またよりやらぬ よよのすてふね | 読人不知 |
| 1318 | わかのうらや はねうちかはし はまちとり なみにかきおく あとやのこらむ | 順徳院 |
| 1319 | さてもなほ あはれはかけよ おいのなみ すゑふきよわる わかのうらかせ | 家隆 |
| 1320 | いまはとて よにもひとにも すてらるる みにななそちの おいそかなしき | 為家 |
| 1321 | とふひとの あらはそいはむ やまさとは おもひしよりも すみうからぬを | 雲雅 |
| 1322 | なほふかく やまよりやまを たつねてそ すてしこころの おくもしられむ | 参玄 |
| 1323 | よをそむく やまはよしのと ききなから こころのおくに いつしるへせむ | 量夏 |
| 1324 | のかれきて すむはいかなる やととたに ひとにしられぬ やまのおくかな | 慶運 |
| 1325 | あらはれて わかすむやまの おくにまた ひとにとはれぬ いほりむすはむ | 実氏 |
| 1326 | まつかせを ともとききても さひしさは なほしのはれぬ やまのおくかな | 円忠 |
| 1327 | やまさとに すみはてよとや よのうさを くるひとことに まつかたるらむ | 元可 |
| 1328 | やまふかき こけのしたみち ふみわけて けにはとひくる ひとそまれなる | 読人不知 |
| 1329 | それまては いとはぬものを やまふかみ とひくるひとの なとなかるらむ | 紹弁 |
| 1330 | のとかにも もとめしやまの おくもまた あくかれぬへく まつかせそふく | 通藤女 |
| 1331 | こころすむ まつのあらしも なれてけり のかるるやまの おくならねとも | 良基(二条道平男) |
| 1332 | さひしさは なれてわするる やまさとを とひくるひとや おとろかすらむ | 義将 |
| 1333 | おのつから またみをかくす ひとにたに すむとしられぬ やまのおくかな | 頓阿 |
| 1334 | しつかなる こころのうちの かくれかは のかれてけりと しるひともなし | 成景 |
| 1335 | さひしさに なれてののちや やまさとの まつのあらしも ともときかまし | 長信 |
| 1336 | かねてわか おもひしよりも やまさとは なれぬるのちそ さひしかりける | 読人不知 |
| 1337 | いつくをも いとふこころの みにそはは このやまかけも すみやすてまし | 貞俊(惟宗) |
| 1338 | あらましの そのままならは やまさとに すむなるひとの かすやそはまし | 資教 |
| 1339 | さひしとて またすみかふる やまさとも なほききわふる のきのまつかせ | 頼之 |
| 1340 | さひしさは おもひしままの やまさとに いとふひとめの なとまたるらむ | 経賢 |
| 1341 | よそにわか おもひやるより やまさとは さひしからてや ひとのすむらむ | 成詮 |
| 1342 | とはれぬを うしとおもひし やまさとは またすみなれぬ こころなりけり | 頼康 |
| 1343 | すむからに うきよとならは なほふかく いりてもやまの かひやなからむ | 隆縁 |
| 1344 | のかれいる かひやなからむ やまさとも こころにそむく うきよならすは | 康行 |
| 1345 | うきよより すみうくとても みをすてて のちはいつへき やまのおくかは | 蓮道 |
| 1346 | ともにすむ こころもならへ やまみつを たよりとむすふ しはのいほりに | 顕則 |
| 1347 | ねぬほとに よやあけかたに なりぬらむ かけひのみつの おとまさるなり | 行尊 |
| 1348 | あらましに おもひしよりも やまさとの かけひのみつは こころすみけり | 頼清 |
| 1349 | このさとは たけのかけひの すゑうけて のきはのやまに つまきをそとる | 行輔 |
| 1350 | をしかふす かとたのしもの さゆるよそ もるころよりも いねかてにする | 慶運 |
| 1351 | つゆしもの もらぬいはやに もるものは こけのたもとの しつくなりけり | 静仁法親王 |
| 1352 | よのなかを うしとはたれも いひなから まことにすつる ひとやすくなき | 覚増法親王 |
| 1353 | いにしへは なほさりともと このころの うきをまちけむ ほとそはかなき | 実教 |
| 1354 | おもひいつる こころにうかふ いにしへを とほきものそと へたてこしかな | 宗鏡 |
| 1355 | おもひいての なきいにしへを しのふるは みのうきことや なほまさるらむ | 経定女 |
| 1356 | おいてなほ うかりけるみを いにしへは ゆくすゑとのみ たのまれしかな | 円伊 |
| 1357 | よのうさは いまはたおなし いにしへの おいせぬはかり しのはるるかな | 行春(二階堂時元男) |
| 1358 | こしかたに かへるみちなき おいのさか なにをしるへに こえてきつらむ | 昌義 |
| 1359 | いつまてと おもふこころに おいかみの うきほとよりは よをそなけかぬ | 乗基 |
| 1360 | かへりこぬ みのむかしをは しのへとも まよはむのちの よをはなけかす | 性厳 |
| 1361 | かくはかり おいぬるみには いのちたに あらはとたのむ あらましもなし | 重基(平) |
| 1362 | はかなくも さていくほとの おもひいてに かへていとはぬ うきよなるらむ | 読人不知 |
| 1363 | なからふる こころよわさを いのちにて そむかぬよこそ おいとなりけれ | 孝行 |
| 1364 | のちのよを なけかぬほとそ しられける みのうきにのみ そてはぬれつつ | 兼好 |
| 1365 | よのなかの うきにかへてし すみそめの そてになみたの なにのこるらむ | 公雄 |
| 1366 | みわたせは けふりたえたる やまさとに いかにほさまし すみそめのそて | 高光 |
| 1367 | すみそめの そてにうきよを のかれても こころのいろは かはるともなし | 読人不知 |
| 1368 | としもへぬ いまひとしほと おもひしも こころにくつる すみそめのそて | 頓阿 |
| 1369 | いとひても のちをいかにと おもふこそ なほよにとまる こころなりけれ | 宗尊親王 |
| 1370 | わかこころ くもりあらしと おもふみを ともとはしらて つきやすむらむ | 基嗣 |
| 1371 | おのつから ひとのこころの くまもあらは さやかにてらせ あきのよのつき | 後醍醐院 |
| 1372 | いのりこし むかしのよゐの あとなくは よそにそみまし くものうへのつき | 道基(二条良基男) |
| 1373 | うきみをも さすかくもゐの つきはかり おなしともとは おもひいつらむ | 為理 |
| 1374 | いまはみの やまとしたかき あきのつき いてていくたひ よにつかふらむ | 良基(二条道平男) |
| 1375 | さらてたに おもひもすてぬ よのなかに すむをともなる つきのかけかな | 良基(二条道平男) |
| 1376 | おいかみの なみたにうかふ つきのみや わかむかしをも おもひいつらむ | 光行 |
| 1377 | よしさらは つもらはつもれ つきをたに みておいらくの おもひいてにせむ | 瑒子内親王 |
| 1378 | かけきよき よもきかほらの あきのつき しもをてらさは すてすもあらなむ | 通具 |
| 1379 | われはかり なほふるさとに のこりゐて よもきかにはの つきをみるかな | 延全 |
| 1380 | あきのつき こたへはいかに かたらまし こころにうかふ よよのあはれを | 公蔭 |
| 1381 | よをすてて のちはなかめぬ ものならは つきにこころや しはしととめむ | 夢窓 |
| 1382 | すみわひぬ わかみともなへ あきのつき いつくのかたの のやまなりとも | 頼貞 |
| 1383 | やまふかき つきにいまより なれそめて そむかむのちの こころをそしる | 公賢 |
| 1384 | かくはかり いとふへきよに なからへて うきをもしらぬ みとそなりぬる | 定宗(藤原家親男)/定家 |
| 1385 | いたつらに すくすになれる つきひかな さすかこころの ひまはなけれと | 国冬 |
| 1386 | いとふへき よのあらましも なかりけり うきときにたに すてられぬみは | 直基 |
| 1387 | みのために なけかぬのみそ よのなかは よそになしても なほうかりけり | 中忻 |
| 1388 | すてやらて こころからなる みのうさを たかよのとかに いかかうらみむ | 為量 |
| 1389 | さりともと ゆくすゑたのむ あらましに つれなくすきし みのむかしかな | 実教 |
| 1390 | たのむへき みにはあらねと ゆくすゑの あらましにこそ しはしなくさめ | 良憲 |
| 1391 | なからへて あるさへいとふ おいらくの みのあらましは すゑもたのまし | 昌算 |
| 1392 | あらましの かなふよならは すてかぬる みのゆくすゑを なほやたのまむ | 宗信 |
| 1393 | ひとすちに おもひもたえは のかるへき よをなほさりに すくしつるかな | 高範 |
| 1394 | さりともと なくさめきつる ゆくすゑも たのみなきまて みこそふりぬれ | 宋助 |
| 1395 | いままても のかれははてぬ おいかみに よをうきものと おもはすもかな | 為連 |
| 1396 | とにかくに またやなけかむ のかれても みのよそならぬ うきよなりせは | 読人不知 |
| 1397 | いかなれは わかあらましの すゑをたに おもひさためぬ こころなるらむ | 聖承 |
| 1398 | おのつから うきをわするる あらましの みのなくさめは こころなりけり | 為世(御子左藤原為氏男) |
| 1399 | あらましの なからましかは なにをかは かすならぬみの なくさめにせむ | 有雅 |
| 1400 | そむくそと よそにはみれと いにしへの あらましほとは すてぬみそうき | 妙藤 |
| 1401 | いとふへき あらましならて よのなかの けにうきときの なくさめそなき | 照覚 |
| 1402 | おもひわひ よのうきときは あらましに いくたひすてし こころなるらむ | 宗覚 |
| 1403 | わすれては よをすてかほに おもふかな のかれすとても かすならぬみを | 夢窓 |
| 1404 | うきものと おもひしりても すくるよを いかにすむみと ひとのみるらむ | 氏直 |
| 1405 | つひにさて すつるみならは いたつらに すきにしかたや くやしからまし | 覚家 |
| 1406 | おもふより ほかなるものは よのうさに たへてつれなき いのちなりけり | 読人不知 |
| 1407 | つらしとて いとひもはては なかなかに よのうきことを たれかなけかむ | 読人不知 |
| 1408 | よしさらは すてられぬみを あたしよの うきにまかせて はてをこそみめ | 禅要 |
| 1409 | なにことを まつとはなくて うつりゆく つきひのままに よをやすくさむ | 道雄 |
| 1410 | なかなかに つらきにつけて わすれなは たれもうきよや なけかさらまし | 高遠 |
| 1411 | われかみに きにけるものを うきことは ひとのうへとも おもひぬるかな | 小町 |
| 1412 | さためなき こころよわさを かへりみて そむかぬよこそ いととをしけれ | 為家 |
| 1413 | さもこそは たけのそのふの すゑならめ みにうきふしの なとしけるらむ | 読人不知 |
| 1414 | かすならぬ みをおもふには よよへぬる みちをもいかて なほつたへけむ | 雅孝 |
| 1415 | いにしへの あとにおよはぬ みなれとも おいのかすこそ かはらさりけれ | 良基(二条道平男) |
| 1416 | しきしまの みちはよよへし あとなから なほみにこゆる わかのうらなみ | 為重 |
| 1417 | いまはとて さはへにかへる あしたつの なほたちいつる わかのうらなみ | 讃岐 |
| 1418 | わかかたに わかのうらかせ ふきしより もくつもなみの たよりをそまつ | 尊氏 |
| 1419 | ととせあまり よをたすくへき なはふりて たみをしすくふ ひとこともなし | 光厳院 |
| 1420 | よのために われもいのれは かきりある いのちなりとも なからへやせむ | 直義 |
| 1421 | よのなかを そむきはてぬと いひおかむ おもひしるへき ひとはなくとも | 西行 |
| 1422 | もとのみの うきはすてても かはらしと おもひしままの よをなけきつつ | 定顕(叡山横川宝蔵坊) |
| 1423 | このころの うきにくらへて おもひいての なきむかしをも またしのふかな | 顕深 |
| 1424 | さらにいま ききてたにこそ しのはるれ みしよりさきの むかしかたりは | 杲守 |
| 1425 | せめていま いひてなくさむ とももかな こころにあまる むかしかたりを | 実衡女 |
| 1426 | かへりこぬ ならひはかりを むかしにて みしはきのふの よよのおもかけ | 高秀 |
| 1427 | うきなから いまはとなれは をしきみを こころのままに いとひつるかな | 清輔 |
| 1428 | はかなくも よのうきことを かこつかな のかれぬほとの みをはなけかて | 重吉 |
| 1429 | のかるへき わかあらましも たのまれす うきよといひて としのへぬれは | 光正 |
| 1430 | おろかなる みはうつせみの よのなかに すてぬものから わひつつそふる | 資連 |
| 1431 | われならて ものおもふひとを よのなかに またありけりと みるそかなしき | 永縁 |
| 1432 | うつつとも ゆめともわかて こしかたの むかしかたりに なるそはかなき | 運円 |
| 1433 | みしひとは おもかけちかき おなしよに むかしかたりの ゆめそはかなき | 光厳院 |
| 1434 | おとろかぬ うつつこそなほ はかなけれ なにかぬるよの ゆめにまさらむ | 尊玄 |
| 1435 | よなよなは かよふゆめちや うつつにも おもかけちかき むかしなるらむ | 宗済 |
| 1436 | おもひねの そのままならは ゆくすゑの わかあらましは ゆめにみてまし | 桓恵 |
| 1437 | ねぬにみし むかしのゆめの はかなさを いまたにさめす なほしのふらむ | 宰相(瑒子内親王家) |
| 1438 | うつつとて みるにうつつの あらはこそ ゆめをもゆめと おもひあはせめ | 為氏 |
| 1439 | ゆめならは またもみるへき おもかけの やかてまきるる よをいかにせむ | 忠良 |
| 1440 | たちかへり かなしくもあるかな わかれては しるもしらぬも けふりなりけり | 貫之 |
| 1441 | とりへやま おほくのひとの けふりたち きえゆくすゑは ひとつしらくも | 良経(九条兼実男) |
| 1442 | このよをは くものはやしに かとてして けふりとならむ ゆふへをそまつ | 良暹 |
| 1443 | やまさくら みぬよのはると うゑおきて そてのみぬらす はなのしたつゆ | 実雄 |
| 1444 | わかれにし みのゆふくれに くもたえて なへてのはるは うらみはててき | 定家 |
| 1445 | おほかたの はるのわかれの ほかにまた わかよもつくる けふそかなしき | 有忠 |
| 1446 | いつをゆめ いつをうつつの ほとそとも みさためかたき あたしよのなか | 一響 |
| 1447 | よのなかを すてぬみなりと おもひせは つねなきことも かなしからまし | 高弁 |
| 1448 | なきひとも あるかすかたの かはるをも みていかはかり なみたおつらむ | 光俊(葉室光親男) |
| 1449 | なきかなく あるかあるにも あらぬよを みるこそおいの なみたなりけれ | 信実 |
| 1450 | いまはよに われよりほかは あはれとも たれみつくきの あとをしのはむ | 瑒子内親王 |
| 1451 | なかれてと ちきりしことは ゆくすゑの なみたのかはを いふにそありける | 仲文 |
| 1452 | たらちねの かたみはかりの ふちころも ぬくにつけても ぬるるそてかな | 読人不知 |
| 1453 | たらちねそ さらにかなしき おやのおやを われとふへしと おもひやはせし | 国夏 |
| 1454 | たらちねの ありていさめし ことのはは なきあとにこそ おもひしらるれ | 為氏 |
| 1455 | よのなかを なににたとへむ ゆふつゆも またてきえぬる あさかほのはな | 順 |
| 1456 | いかにして おもひすてまし あさかほの きのふのはなの ありかたきよを | 小大進(花園左大臣家) |
| 1457 | くさのはに きえゆくつゆを みることに ありしありあけの かけそかなしき | 長家 |
| 1458 | あさちはら すゑはにすかる つゆのみは もとのしつくを よそにやはみる | 仲綱 |
| 1459 | おくれゐて なほかせさむし いつまてか しものくちはに たちかくれけむ | 少将(藻壁門院) |
| 1460 | しもかれの をきのうははの そてのつゆ うしろめたくや おもひおきけむ | 周防内侍 |
| 1461 | かそふれは われもやそちの おなしみに のこりてけふの あとをとふかな | 雄舜 |
| 1462 | わかれにし つきひやなにの へたてにて きのふはひとの むかしなるらむ | 光吉 |
| 1463 | かそふるは ととせあまりの あきなれと おもかけちかき つきそかなしき | 伏見院 |
| 1464 | わすらるる ひまなきものは おもかけも さらぬわかれの なこりなりけり | 実甚 |
| 1465 | つひにゆく みちもいまはの ときなれや ひつしのあゆみ みにそちかつく | 託阿 |
| 1466 | はかなしや いかなるのへの よもきふに つひにはたれも まくらさためむ | 守覚法親王 |
| 1467 | いのちこそ なほたのまれね あたしのの つゆはかせまつ ほともあるよに | 如空 |
| 1468 | こはたやま きみかゆききは なれにしを かちよりおくる たひそかなしき | 宗成 |
| 1469 | ゆくへなき たまのをくしも かたみにて なほそのかみを わすれわひぬる | 忠良 |
| 1470 | はるのはな あきのもみちの なさけたに うきよにとまる いろそまれなる | 土御門院 |
| 1471 | あさひさす たかねのくもは にほへとも ふもとのひとは しらすそありける | 俊成(藤原俊忠男) |
| 1472 | いつくにも はるはきぬれと あさひさす たかねよりこそ ゆきはきゆらめ | 宗尊親王 |
| 1473 | はるはたた はなをそおもふ ふたつなく みつなきものは こころなりけり | 尊円法親王 |
| 1474 | われはたた ほとけにいつか あふひくさ こころのつまに かけぬまそなき | 源空 |
| 1475 | のりのはな いまもふるえに さきぬとは もとみしひとや おもひいつらむ | 後嵯峨院 |
| 1476 | くまもなき つきのひかりに さそはれて わしのみやまを さしてきにけり | 寂然 |
| 1477 | やまのはに いているつきも めくりては こころのうちに すむとこそきけ | 成尋母 |
| 1478 | こけのにはを たまのみきりに しきかへて ひかりをわかつ みねのつきかけ | 源承 |
| 1479 | いまそしる まことのみちに くもはれて にしをたのめは ありあけのつき | 読人不知 |
| 1480 | われかくて やまのはちかく なるままに すきしつきひの かすそかなしき | 慶政 |
| 1481 | うかれたる わかみよいかて ふるさとに たひとおもはて すみさたむへき | 頼仲 |
| 1482 | みをわけし をしへしなくは たらちねの うきよのやみを なほやなけかむ | 読人不知 |
| 1483 | ともかくも こころこそなせ おなしくは われとさとりを いかてしらまし | 国夏 |
| 1484 | みなひとの こころのつきの はれやらて まよふのちせの やまのはのくも | 覚深 |
| 1485 | かはらしな むなしきそらの ゆふつくよ またありあけに うつりゆくとも | 頓阿 |
| 1486 | くもよりも たかきところに いててみよ しはしもつきに へたてやはある | 夢窓 |
| 1487 | ねかはくは こころのつきを あらはして わしのみやまに あとをてらさむ | 良経(九条兼実男) |
| 1488 | へたてこし よよのうきくも けふきえて むかしまたみぬ つきをみるかな | 信生 |
| 1489 | いるつきの なこりをそへて したふかな みねよりにしの くものをちかた | 示証 |
| 1490 | うへもなく たのむひよしの かけなれは たかきみねとや まつてらすらむ | 幸円 |
| 1491 | あかむすふ あとをはのこせ なからなる やまのしたみつ こけふかくとも | 尊道法親王 |
| 1492 | たれにまた とははこたへむ わかやまの のりのなかれの ふかきこころを | 道玄 |
| 1493 | にこりある みつにもつきは やとるそと おもへはやかて すむこころかな | 願蓮 |
| 1494 | にこるよの ひとのこころを そのままに すてぬちかひと たのむはかりそ | 賢珠 |
| 1495 | ひとなみに のりのなかれを つたへても みつのこころや なほにこるらむ | 読人不知 |
| 1496 | ふねよはふ こゑにむかふる わたしもり うきよのきしに たれかとまらむ | 為家 |
| 1497 | しのへとて かきおくうらの もしほくさ なからへてたに かたみともなれ | 基良 |
| 1498 | としふれと まつのみとりは かはらぬに しもをいたたく かけのしたくさ | 源承 |
| 1499 | さきのよの むくひときけと みのうさに おもひこるへき ここちこそせね | 寂然 |
| 1500 | みなひとの うきよのゆめも さむはかり はるかにひひけ あかつきのかね | 尊円法親王 |
| 1501 | ゆめをまつ よはのころもの うらならは うつつにしらぬ たまもみてまし | 為重 |
| 1502 | こころをそ なほみかくへき すみそめの ころものうらの たまはみすとも | 重阿 |
| 1503 | いまはとて ときけるのりの かなしきは けふわかれぬる ここちこそすれ | 赤染衛門 |
| 1504 | のりのみち いるへきかとは かはれとも つひにはおなし さとりとそきく | 如月 |
| 1505 | いとふとも をしむともなし かりそめの うきよにやとる わかみとおもへは | 花園院 |
| 1506 | よのために たてしうちとの みやはしら たかきかみちの やまはうこかし | 基家 |
| 1507 | みをいのる ひとよりもなほ をとこやま すなほなるをそ まもりとはきく | 尊氏 |
| 1508 | やはたやま かみやきりけむ はとのつゑ おいてさかゆく みちのためとて | 家長(源時長男) |
| 1509 | かすかやま さかゆくかみの めくみもて ちよともささし みねのまつかえ | 良基(二条道平男) |
| 1510 | つかへこし あとをそたのむ みかさやま さすかにかみの すてしとおもへは | 延朝 |
| 1511 | ひとすちに よをなかかれと いのるかな たのむみかさの もりのしめなは | 実兼 |
| 1512 | あとたれて ちかひをあふく かみもみな みのことわりに たのみかねつつ | 定家 |
| 1513 | かみもまた すてぬみちとは たのめとも あはれしるへき ことのはそなき | 宗尊親王 |
| 1514 | おいのなみ なほしはしはも ありとみは あはれをかけよ たまつしまひめ | 信実 |
| 1515 | たまつしま たむくるからに ことのはの つゆにもみかく いろやみゆらむ | 光済 |
| 1516 | いすすかは せせのいはなみ かけまくも かしこきみよと なほいのるかな | 経直 |
| 1517 | たのむかな わかみなもとの いはしみつ なかれのすゑを かみにまかせて | 義満 |
| 1518 | さのみなと にこるこころそ いはしみつ さこそなかれの かすならすとも | 恒助法親王 |
| 1519 | よしさらは かみにまかせて いはしみつ すめるこころを たむけにもせむ | 顕氏(細川頼貞男) |
| 1520 | つかふへき みとてすてえぬ ことわりを さすかあはれと かみやみるらむ | 成繁 |
| 1521 | さらにいま はなさくうめの みやはしら たててそちよの さかりをもみむ | 慶有 |
| 1522 | くもわけし かみよはしらす いまもなほ かけみたらしに やとるつきかな | 脩久 |
| 1523 | わすれすよ みたらしかはの ふかきえに なれてかけみし やまあゐのそて | 隆教 |
| 1524 | からさきや ささなみなから よるふねを かみよにかへす まつかせそふく | 玄全 |
| 1525 | かみかきの まつもさかきも ときはなる ためしかさねて よをいのるかな | 国冬 |
| 1526 | かみかきや ひとよのまつの みしめなは ちとせをかけて よをいのるかな | 禅厳 |
| 1527 | みそきする とよみやかはの しきなみの かすよりきみを なほいのるかな | 朝勝 |
| 1528 | おきつかせ はままつかえに かけてけり たむけかほなる なみのしらゆふ | 国平 |
| 1529 | あらはれし もとのしほちは しらねとも いますみよしも うらかせそふく | 為重 |
| 1530 | たちはなの をとのしほせに あらはれて むかしふりにし かみそこのかみ | 国量 |
| 1531 | すみよしの まつのむらたち いくかへり なみにむかしの はなさきぬらむ | 敏行 |
| 1532 | わたつうみの まさこのかすに あまれるは ひさしききみか ちとせなりけり | 為氏 |
| 1533 | かみやまの ふもとをとむる みたらしの いはうつなみや よろつよのかす | 匡房 |
| 1534 | よしのかは いはとかしはを こすなみの ときはかきはそ わかきみかみよ | 定家 |
| 1535 | ときしらは はなもときはの いろにさけ わかここのへは よろつよのはる | 後醍醐院 |
| 1536 | とかへりの はなをけふより まつかえに ちきるもひさし よろつよのはる | 後円融院 |
| 1537 | きみかよの いととひさしく なりぬれは ちとせのまつも わかはさしけり | 師実 |
| 1538 | さらにまた ももよはしめて わかきみの あまつひつきの すゑもかきらし | 定為 |
| 1539 | をとこやま いまをももよの はしめにて さらにやきみを またまもらまし | 具通 |
| 1540 | あめのした ひとのこころや はれぬらむ いつるあさひの くもりなけれは | 二条院 |
| 1541 | かきりなく よをこそてらせ そらにすむ つきひやきみか みかけなるらむ | 忠光 |
| 1542 | ちとせとも いひいてかたし かきりなく つきもすむへき やとのいけみつ | 道嗣 |
| 1543 | ふしておもひ おきていのりし ほとよりも なほさかえゆく きみかみよかな | 為定(御子左二条為道男) |
| 1544 | をさまれる みよのしるしも さらにいま みえてさかゆる しきしまのみち | 義満 |
| 1545 | ここのへの うちののゆきに あとつけて はるかにちよの みちをみるかな | 少将内侍(後深草院) |
| 1546 | ももしきに みとりそふへき くれたけの かはらぬかけは よよひさしかれ | 後伏見院 |
| 1547 | ももしきに うつしうゑてそ いろそはむ はこやのやまの ちよのくれたけ | 花園院 |
| 1548 | よよまてに ふりぬとおもふ やとのまつ ちとせのすゑは またはるかなり | 実兼 |
| 1549 | たかさこの をのへにたてる まつかえの いろにやふへき きみかちとせは | 後二条院 |
| 1550 | おふるより としさたまれる まつなれは ひさしきものと たれかみさらむ | 伊勢 |
| 1551 | きみすめは よするたまもも みかきいてつ ちよもつたへよ わかのうらかせ | 家隆 |
| 1552 | けふやまた よよのためしを くりかへし まさきのかつら なかくつたへむ | 具氏 |
| 1553 | つきもせし はまのまさこの かすかすに いまもつもれる やまとことのは | 家経(一条実経男) |
| 1554 | きみかよは ちきるもひさし ももとせを とかへりふへき ちちのまつはら | 兼綱(藤原光業男) |
